「化学的な縮毛矯正を頻繁に行う女性は、それらを行わない人と比較して、子宮癌のリスクが2倍以上であることが判明した」(2023/02/04 BAZAR)
なめらかなストレートヘアは、ある種の理想の一つであり、サロンでの施術やホームケア製品に多くのお金を費やしてきた人も少なくないかもしれない。
ところが、ある新しい研究(人種や民族の異なる33,000人以上のアメリカ人女性を10年以上にわたって追跡調査した大規模なもの)によると、化学的な縮毛矯正を頻繁に行う女性は、それらを行わない人と比較して、子宮癌のリスクが2倍以上であることが判明したという。
「この結果は、縮毛矯正に使われる化学成分が、女性ホルモン関連の癌のリスク増加に影響するという先行研究と一致する」と、研究の著者は国立がん研究所のジャーナルに書いた。彼らは、様々な染毛剤、ブリーチ剤やパーマ剤を含むヘアケア製品が、子宮癌リスクを上昇させることを発見した。
がん細胞だけ攻撃する免疫細胞をオーダーメイドで作ることに成功 ゲノム編集技術の歴史と未来(2022/11/15 Newsweek)
米国のがん治療ベンチャー企業やカリフォルニア大ロサンゼルス校などから構成される研究チームは10日、「がん細胞だけを攻撃する免疫細胞」を各個人に合わせて作成することに成功したと、マサチューセッツ州ボストンで開催された癌免疫療法学会で発表しました。この成果は総合科学誌「Nature」にも掲載されました。
用いられたのは「CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)」と呼ばれるゲノム編集技術で、身体を異物から守る免疫応答システムの司令塔の役割を果たす細胞集団「T細胞」をオーダーメイドでデザインし、増やしました。
がんに罹患すると、自覚症状の前でも異常な増殖をする細胞が体内に潜伏しています。CRISPR-Cas9で免疫細胞を強化することで発見と治療が可能と考えられており、すでにアメリカや中国では盛んに研究されています。
今回の米研究チームによる研究は、「CRISPR-Cas9によるオーダーメイド治療」と「T細胞を遺伝子操作して腫瘍を標的化する」という分野の2つの最新技術を組み合わせました。
遺伝子操作されたT細胞を使う治療法は「CAR-T細胞療法」と呼ばれ、全身を循環する血液がんやリンパがんの治療では有効とされていますが、固形腫瘍では難しいと考えられてきました。
CAR-T細胞は腫瘍細胞の表面に発現しているタンパク質にのみ有効なこと、固形腫瘍では表面に発現するタンパク質に個人差があることが理由です。
さらに白血球の一種であるT細胞は血流で腫瘍まで運ばれますが、腫瘍細胞が免疫を抑制する化学シグナルを出すこともあり、その場合は腫瘍に近づくとT細胞の機能が低下してしまいます。
研究チームは、乳がんや結腸がんの患者16人に対して、固形腫瘍の変異タンパク質を特定し、どの変異にT細胞が応答して細胞の破壊反応を引き起こす可能性が高いか予測しました。その後、腫瘍の変異を認識できるT細胞受容体をオーダーメイドで設計して、患者の体内にCRISPR-Cas9でゲノム編集したT細胞を注入しました。
その結果、遺伝子編集されているT細胞は編集されていないT細胞よりも腫瘍の近くに高濃度で存在していること、1カ月後に16人中5人の腫瘍が安定している(成長していない)ことなどを確認しました。チームは今後も、「免疫抑制シグナルに応答するT細胞側の受容体を除去する」といった改良したCAR-T細胞療法を考えています。
特例承認された治療薬「エバシェルド」 コロナ対策の決定打になるか? 免疫を得にくい人には期待大(2022/09/01 カンテレ)
新型コロナの新しい治療薬「エバシェルド」が特例承認されました。新型コロナウィルス対策の決定打となるのでしょうか。
8月30日、特例承認された新型コロナの新しい治療薬「エバシェルド」。イギリスの製薬大手アストラゼネカの注射薬で、重症化リスクのある患者に投与することとされています。さらにこの薬、初めて“ある効果”が確認されました。
【加藤勝信 厚労相】
「ワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある方がいらっしゃいます。そういった方などにおいて、“ウイルス暴露前の発症抑制”に使用できる初めての薬剤となります」
「エバシェルド」に期待されている、“発症抑制効果”。海外の治験では、コロナウイルスに感染していない人に対して、1回の注射でおよそ8割、発症を抑えられたことが確認されました。
免疫不全や抗がん剤治療を受ける患者など、ワクチンの効果が得られにくい人に対して効果が期待されていて、その効果は半年ほど持続するとされています。
「オプジーボ」投与で老化細胞が減少、身体機能改善…東大などチーム発表(2022/11/3 読売)
がん免疫治療薬「オプジーボ」をマウスに投与すると、体内の老化細胞が減り、身体機能が改善したとする研究成果を、東京大と金沢大のチームが発表した。様々な臓器・組織の老化防止や生活習慣病の治療につながる可能性があるといい、論文が2日付の科学誌ネイチャーに掲載される。
肝臓に蓄積する脂肪を観察した顕微鏡画像。上段は正常なマウスで、下段は脂肪肝のマウス。下段左側は白い脂肪が目立つが、オプジーボを投与したマウス(下段右)では脂肪が減っている(中西真・東京大教授提供)
細胞の多くは時間がたつと分裂して新しい細胞に置き換わる。分裂しなくなった老化細胞が増えると周囲に炎症が起き、がんや高血圧などの疾患の原因になる。通常は免疫細胞の働きで除去されるが、加齢で増えるメカニズムは謎だった。
チームが加齢マウスの老化細胞を調べると、一部の細胞の表面に「PD―L1」という分子が多くくっついていた。この分子が免疫細胞の表面にある分子「PD―1」と結合し、免疫を弱めることがわかった。
チームは、PD―L1が老化細胞を増やす原因とみて、免疫細胞との結合を邪魔して免疫を活性化させるオプジーボを加齢マウスに投与した。その結果、様々な臓器で老化細胞が顕著に減少して握力が回復したほか、脂肪肝のマウスでは肝機能が改善したという。
がん放置療法の近藤誠医師死去 かつて語った「一人の意見は『抗がん剤をやめさせる』根拠にはなる」(2-22/08/18 AERA)
『患者よ、がんと闘うな』などの著者として知られる近藤誠医師(73歳)が亡くなった。近藤医師の著書『医者に殺されない47の心得』(2012年刊)がベストセラーとなっていた2013年に、『週刊朝日』ではその科学的根拠をめぐる検証記事を企画し、複数の専門医と近藤医師(当時・慶応大学放射線科講師)に取材を敢行していた。
がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん--。そんな過激な主張を繰り返していた近藤医師は、学術的な論文などではなく、もっぱら一般向けの書籍や雑誌でしか主張を発表してこなかった。その理由はどこにあったのか? 当時の記事(週刊朝日2013年6月21日号、28日号)から抜粋して振り返る。
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近藤医師は1980年代から、「がんを見つけたら手術や抗がん剤治療をしたほうがいい」という通念に誤りがあると指摘してきた。
『医者に殺されない47の心得』の中で近藤医師は「がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん」「がん検診は、やればやるほど死者を増やす」と説いていて、その論の根幹として、「抗がん剤の臨床試験には人為的操作が入っている」といった問題点を挙げている。
「これまでの僕の本では、肝心なところは根拠となるデータを示していたけど、一般の人には読みにくいでしょう。だから今回(の『医者に殺されない47の心得』)は、結論だけ書いてある。いちいち論文根拠は示さない。
そうするとわかりやすくなる。それは執筆にあたって工夫したところで、それゆえに読者の支持を得ているわけ」(近藤医師)
その内容は、現在の医療の常識とはかけ離れた主張で、しかも断定的な論調で書かれている。近藤医師はこう続ける。
「根拠というのは、聞かれたときに示せばいい、という考え方もある。僕のほかの本には専門的な根拠が書いてあるわけだから、読者が、僕の主張の根拠を知りたければ、それらの本を読めばいい」
第34回 日本癌学会市民公開講座(2019/10/28)
「肺がんの最新治療と免疫療法~大きな効果を得るために~」
萩原 弘一(自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門 教授)
LINEオープンチャットに
「がんサバイブ・クラブ by がん経済新聞」
を開設しました。
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承認、未承認関わらず、根拠のある治療法は、
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