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最新ニュース

膵臓がん、薬品投与で光らせ1センチ以下で検出へ…国立がん研究センターなど早期発見へ治験開始(2024/06/12 読売)            

【6月12日 読売新聞】国立がん研究センターなどの研究チームは11日、微小な 膵臓すいぞう がんを発見できる新しい画像診断技術を使った治験を始めたと発表した。従来の検査法では難しい0・3~1センチのがん検出を目指す。実用化されれば、初期に自覚症状がほとんどない膵臓がんの早期発見につながることが期待される。 
研究チームは、がん細胞の表面にあるたんぱく質にくっつきやすい性質を持つ新しい放射性医薬品を開発した。治験ではこれを 腹腔ふくくう 内に投与し、PET(陽電子放射断層撮影)検査で撮影すると、がん細胞が光って見える。マウスを使った実験では0・3センチ程度のがんが検出できたという。現状ではCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの検査方法では1センチ以下の検出は困難となっている。 

第1段階の治験は2025年9月までを予定しており、転移のない膵臓がんと診断された患者7~18人を対象とする。新しい放射性医薬品の安全性や投与量を調べる。

 同センター中央病院の肱岡範・肝胆膵内科医長は「小さい病変や転移を検出でき、正確なステージ(病期)を判断して、患者に適切な治療法を提案できることになる」と話している。

 

早期肺がん治療費330万円が3万円に 陽子線治療が今月から保険診療に「大きかったので治るか心配したが、もう6年生存」(2024/06/03 TBS)

【6月3日 TBS News DIG】国は、2016年から陽子線治療の中でも「治療効果や安全性が認められた」一部のがん治療への保険適用を始めました。昨年度までに認められたのが8つ、小児がん、前立腺がん、すい臓がん、前立腺がん、大腸がん術後再発、骨軟部、頭頸部、肝内胆管です。

そして今月から保険診療が始まったのが、早期の肺がんです。およそ330万円だった治療費が、所得や年齢によって違いはあるものの、保険診療では110分の1となる3万円ほどまでに引き下げられます。

 日本人の2人に1人が一生のうちに診断されるといわれる「がん」。公的医療保険の適用範囲の拡大で、がんと向き合う患者たちの治療の選択肢が広がることが期待されます。

受動喫煙が肺がんを引き起こすしくみを解明、能動喫煙とは異なる(2024/06/02 ナショナルジオグラフィック)

【6月2日 National Geographic】アポベック型変異は受動喫煙の肺がん発症の原因と推察されると共に、がん細胞のDNAに均一には存在していないことも分かった。河野分野長は「不均一な存在であるために、異物として排除されることなく『生き残って』しまう。たばこの含有物質による炎症に加え、がんになる理由なのではないか」と考察している。

なお、今回の研究対象を女性に限定したのは、男性患者の受動喫煙では居酒屋など一時的なものにとどまり、保護者や配偶者の喫煙環境に日常的にさらされるという類似した環境下にあるのは女性が多いためだという。また、肺がんを発症したのは受動喫煙から数年~数十年後を経た60代以降が多かった。

 

 解析の結果、アポベック型変異は、受動喫煙があるたばこを吸わない女性に突出して発現していた。この変異は喫煙女性にはほぼ見られなかった。また、喫煙女性に見られるたばこ型変異は、受動喫煙の有無を問わず、喫煙しない女性患者にはほとんど見られなかった。
今回の研究では10代と30代での受動喫煙の影響を比較できるほど患者が多くなかったため、河野分野長は「今後はより多くの患者を調べて、保護者の下と配偶者の下での受動喫煙による世代差のゲノム情報の違いを調べていけると良いと考えている」と話す。その上で「遺伝子変異を調べることは、抗がん剤のターゲットを考える戦略において非常に重要」としている。そして、受動喫煙を防止するために屋内での全面禁煙や、屋外で受動喫煙にさらされないように環境を整えることが望ましいという。
(科学技術振興機構(JST)が運営する科学情報サイト「サイエンスポータル」の提供)

脱毛は「プライド許さない」 見た目の変化、男性がん患者にも苦しみ(2024/05/26 朝日)

【5月26日 朝日新聞】がんの治療では、見た目(アピアランス)に変化が生じることがあります。抗がん剤治療などに伴う脱毛に直面し、どのように対処したらいいのか戸惑う人も少なくありません。そうした不安や苦痛をやわらげる「アピアランスケア」の重要性が高まっています。

膵臓(すいぞう)がんと診断され、抗がん剤治療を始めた東京都の男性(72)は昨年11月、自身の脱毛に落胆した。

普段からおしゃれに気を使い、美容室には2カ月に1度は通っていた。ふさふさの黒髪で実年齢より若く見られるのが誇らしかった。脱毛により自身の見た目が変わるのは「プライドが許さなかった」。

脱毛が進むと、見た目が気になって趣味のサークルは退会した。ゴミ出しなど小さな用事でも家を出なくなり、妻(66)は「このままでは引きこもってしまう」と心配した。

このままではいけない、と夫婦で調べてみたが、男性患者の見た目の変化に関する情報は少なかった。ウィッグを購入しようといくつか試着したものの、気に入ったのは58万円の製品。高額で買うべきか悩んだ。

そんな時、通院先の国立がん研究センター中央病院で、見た目の変化に悩む患者をサポートしている「アピアランス支援センター」に相談した。すると、ウィッグのレンタルを提案された。安価で借りることができる、気に入った髪形のものが見つかった。「いざというときはこれをかぶればいいという安心感が生まれた」(有料記事)

 

藤原宏美、乳がんで左胸を全摘出もその翌年に再発、手術1週間前にセミヌード撮影の決意(2024/05/25 Yahoo)

【5月25日週刊女性PRIME】タレントとして関西を中心に活躍する藤原宏美さん。6年前に乳がんが見つかり、がん細胞が乳管や小葉内にとどまっている0期の“非浸潤がん”だったものの、大事をとって左胸を全摘出することとなった。しかし翌年にはまさかの再発。「経験が人を強くするって本当ですね」と前向きに振り返る。

 クリニックを訪れたのも、念のため、不安を払拭しようという思いがあったという。しかし、エコー検査にマンモグラフィー、MRI、生検と検査は進み、ついに「0期の非浸潤がん」と診断される。 「先生にそう言われたものの、“0期、非浸潤”という言葉自体が初めてで、すベてにとまどって。0という言葉の響きに、乳がんの前段階なのかな、しばらく気をつけていればいいのかな、と解釈していました」  しかし、告知と同時に、入院、手術のスケジュールが告げられる。
医師から提案された選択肢は、「全摘出」「全摘出+再建」「部分切除+放射線治療」の3つ。女性にとってはどれもつらい選択だったが、全摘を決意。
しかし、翌年、乳がんが再発。浸潤がんの局所再発との診断だった。全摘後に再発するケースは珍しく、1%の確率とされている。このとき初めてセカンドオピニオンを受けることを決めた。
がんを経験し、食生活も大きく変わった。びわ茶にハーブティー、オリーブオイルなど、がんによいとされる食材を積極的に取り入れ、同時に栄養バランスに配慮した食事で健康管理を行っている。

英GSK「ザンタック」、発がんリスク40年隠ぺいと米独立機関が提訴(2024/05/21 ロイター)

【5月20日ロイター】- 米独立検査機関バリシャー(コネチカット州ニューヘブン)は20日、公益通報者として英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)を, opens new tを相手取って数十億ドルの損害賠償を求める訴訟ペンシルベニア州のフィラデルフィアの裁判所に起こした。

訴えによると、GSKは胸焼け薬として広く知られていた胃炎・消化性潰瘍治療薬「ザンタック(一般名ラニチジン塩酸塩)」に発がん性リスクがあることを約40年間隠ぺいし、米政府と納税者を欺いていたと主張。
この間、高齢者向け公的保険メディケアや、低所得者向け医療保障メディケイド、その他の健康関連事業で、ザンタック処方が総額数十億ドルに及び、虚偽請求取締法に違反したとバリシャーは申し立てている。
同法の規定で公益通報者は政府に代わって提訴することができる。
GSKは声明で真っ向から争う方針を表明している。 

 

ファイザーの遺伝子治療薬や膀胱がんに対する新規免疫療法など8新薬が承認―米FDAが2024年4月に承認した新薬(2024/05/16 AnswersNews)

【5月16日 AnswersNews】2024年4月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。

がん

Anktiva|米イミュニティバイオ

IL-15受容体アゴニスト「Anktiva」(一般名・nogapendekin alfa inbakicept)は、BCG不応性の筋層非浸潤性膀胱がん治療薬。BCGと併用します。同薬は、患者のNK細胞とキラーT細胞を活性化させてがん細胞を攻撃するとともに、メモリーT細胞を刺激して長期の奏功を実現。臨床試験では47カ月を超える完全奏効期間を示しました。

 Ojemda|米デイ・ワン

タイプIIのRAF阻害薬「Ojemda」(tovorafenib)は、生後6カ月以降の小児のBRAF V600変異陽性の再発・難治性の低悪性度神経膠腫に対する治療薬。奏効率51%を示した臨床第2相(P2)試験の結果をもとに迅速承認されました。

感染症

Zevtera|スイス・バシリア

「Zevtera」(ceftobiprole medocari)は、新規のセファロスポリン系抗菌薬。▽右側心内膜炎を含む成人の黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)▽成人の急性細菌性皮膚および皮膚構造感染症(ABSSSI)▽生後3カ月以降の市中細菌性肺炎(CABP)――の治療に使用されます。欧州など数カ国でもCABP治療薬として承認されています。

 Pivya|米ユーティリティ

ペニシリン系抗菌薬「Pivya」(pivmecillinam)は、成人女性の尿路感染症治療薬。欧州では40年以上にわたって使用されてきたもので、ユーティリティ・セラピューティクスは2018年にデンマークのレオファーマから同薬の権利を取得しました。

 血液

Beqvez|米ファイザー

「Beqvez」(fidanacogene elaparvovec)は、成人の血友病Bに対する遺伝子治療薬。1回の投与で患者自身が第IX因子を産生できるように設計されており、標準治療と比べて持続的な出血予防効果が確認されています。欧州やカナダでも申請中で、日本でもP3試験段階にあります。

 Xromi|英ノバラボラトリーズ

鎌状赤血球症治療薬「Xromi」は、代謝拮抗薬hydroxyureaの経口内服液。中等症から重症の有痛性クリーゼを伴う生後6カ月から2歳未満の小児患者に使用されます。従来はカプセル剤と錠剤のみでした。Xromiは欧州でも2019年に承認されています。

 神経・筋

Libervant|米アクエスティブ

「Libervant」は、diazepamのバッカルフィルム製剤。2歳から5歳の小児てんかん患者の群発発作の急性治療に使用されます。

 その他

Xolremdi|米X4

CXCケモカイン受容体4(CXCR4)アンタゴニストの「Xolremdi」(mavorixafor)は、12歳以上のWHIM症候群治療薬。同疾患はCXCR4経路の障害によって引き起こされるもので、原発性免疫不全と慢性好中球減少を併発する疾患です。従来の治療は支持療法が中心で、根本原因を標的とする治療薬は初めて。31人の患者を対象とするP3試験の結果をもとに承認されました。

 

日本人に特有の未知の発がん要因を発見:腎臓がんの全ゲノム解析から見えてきたこと(2024/05/15 オンコロ)

【5月15日 オンコロ】国立がん研究センターは「世界最大規模の腎臓がんの全ゲノム解析から日本人の7割に未知の発がん要因を発見」と題した記者会見を開催。過去最大の腎細胞がんの全ゲノム解析の結果が報告された。

研究の詳細は、柴田龍弘氏(同研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野 分野長)より説明があった。
腎臓がんの約8割を占める腎細胞がんは、発症頻度が地域ごとに異なると報告されており、日本における罹患率は増加傾向にある。発症の危険因子として喫煙、肥満、高血圧、糖尿病が知られてるが、これらの因子の関与は50%未満の症例に限られているとも言われており、地域ごとの腎細胞がんの発生頻度の違いは不明であった。

今回の研究では、腎細胞がんの中でも最も頻度の高い淡明細胞型腎細胞がんに着目。発症頻度の異なる11か国から962症例(日本人36例を含む)のサンプルを収集し、全ゲノム解析による発がん要因を解析した。

がんはさまざまな要因によって正常細胞のゲノムに異常が蓄積することで発症するが、その遺伝子の突然変異の起こり方には一定のパターン(現時点で50種類以上が同定されている)があることが明らかになってきている。これを変異シグニチャーと呼び、中でも点変異のシグネチャーはSingle Base Substitution Signature(SBS)という。

今回の解析結果から、日本人の淡明細胞型腎細胞がんの72%の症例で「SBS12」という特有の変異パターンが検出され(追加の日本人症例61人でも75%で検出)、日本における「SBS12」を誘発する要因への曝露頻度が高いことが示唆された(他国におけるSBS12の検出割合は2%程度に留まっていた)。柴田氏によると、「SBS12」発現の要因は現在のところ明らかではないものの、遺伝子変異パターンから、外的な環境要因である可能性が高いようだ。

続いて、既に淡明細胞型腎細胞がんの危険因子であることが知られている加齢、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病と変異シグニチャーとの関連を調べた結果、「SBS4」とたばこ由来の発がん物質との関連が示された。一方の肥満、高血圧、糖尿病に関しては、特定の変異シグネチャーとの関連は認められず、遺伝子変異誘発以外の間接的な要因を介して発がんに関わっていることが示唆された。

 

最後に、変異シグニチャーとドライバー遺伝子変異との関連を解析。今回日本人症例で多く検出された「SBS12」は、がんドライバー遺伝子変異に特に多いわけではなかった。この理由として柴田氏は、まだ「SBS12」を持つ症例の全ゲノム解析データ数が少なく、十分な統計解析ができなかった可能性を指摘し、今後の研究課題であると述べた。

日本初(※1) 医師監修による がん患者さんのための食支援サービス 在宅での栄養管理に配慮したミールキットコース「がん患者さんとつくった ヘルスケアOisix」販売開始(2024/05/14 PR TIMES)

【5月14日 Oisix】食品のサブスクリプションサービスを提供するオイシックス・ラ・大地株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:高島 宏平、以下「当社」)が運営するOisixは、2024年5月14日(火)から、がんの治療をされている方と家族の食事サポートを目的とした「がん患者さんとつくった ヘルスケアOisix」の販売を開始します。コースでは国内外のがんと食事に関するガイドラインを参考に、在宅での栄養管理を目的に要件を設定したミールキットを提供。30名以上の医療専門職の方々や15の患者支援団体、企業の協力をいただきサービスの開発に至りました。

また同日には、当社にて「がん治療を支える食生活研究所」を創設し、臨床研究や治療と食生活とのエビデンスの発信などにも取組む予定です。
(※1)在宅のがん患者さんのため、通信販売が利用可能なミールキットなどを用いたものであって、国内外のガイドラインなど参考にしている食支援サービス

 

世界最高速度の陽子ビーム達成 がん治療に一歩―量研機構など(2024/05/13 時事通信)

【5月13日 時事通信】体内のがん細胞をピンポイントで攻撃する「粒子線がん治療装置」の小型化に向けた研究を進めている量子科学技術研究開発機構は、ドイツなどとの国際共同研究により、小型レーザーを使って水素イオン(陽子)ビームを光速の約50%まで加速させることに世界で初めて成功した。
治療に用いるには陽子を光速の55%まで加速させる必要があるが、これまでは40%が限界だった。論文は13日、英科学誌ネイチャー・フィジックス電子版に掲載された。

粒子線がん治療は、光速近くまで加速させた陽子や炭素イオンビームを体内のがん細胞に直接照射し、死滅させる。X線などを使った治療よりも正常な組織への影響が少ないため、副作用を抑えられるという。

ただ、大規模な加速器などが必要で、陽子の12倍の質量がある炭素イオンを光速の約70%まで加速させる「重粒子線治療」を行っているのは国内で7施設にとどまっている。

研究チームは、独ドレスデンにある小型レーザー施設を使い、レーザー光の強度を変化させながら、3段階で加速する新たな手法を開発。光速の約50%の陽子ビームを達成した。

 

量研機構関西光量子科学研究所の西内満美子上席研究員は「高出力レーザーを使えば、加速器なしで治療可能な粒子線を発生させられると期待できる。2040年代には実用化したい」と話している。  

 

乳がんサバイバー、二次がんの発症リスク増か(2024/05/13 MT)

【5月13日 メディカルトリビューン】乳がんサバイバーは、その後、再発ではなく新たに別のがん(二次がん)を発症するリスクが高い可能性のあることが、英ケンブリッジ大学公衆衛生学・プライマリケア学部のAntonis Antoniou氏らによる研究で示された。Antoniou氏らは、乳がんサバイバーが実際に二次がんを発症する絶対リスクは低いことを強調しつつも、乳がんの罹患歴がない人と比べた場合の相対リスクは高いことが明らかになったと述べている。詳細は、「The Lancet Regional Health - Europe」に4月24日掲載された。Antoniou氏は、「この研究は、乳がんサバイバーの二次がん発症リスクについて調べた、これまでで最大規模のものだ」と説明している。

 Antoniou氏らは今回、英国のがん登録データ(National Cancer Registration Dataset;NCRD)などを用いて、1995年1月1日から2019年12月31日の間に初めて乳がんと診断された女性58万1,403人と男性3,562人の乳がんサバイバーのデータを分析した。

Antoniou氏らはまず、最初に乳がんと診断されたときにはがんがなかった側(対側)の乳房に新たにがんが見つかるリスクを調べた。その結果、乳がんサバイバーでは、乳がんの罹患歴がない人に比べて対側の乳房に乳がんが発生するリスクが、女性では約2倍〔標準化罹患比(SIR)2.02、95%信頼区間(CI)1.99〜2.06〕、男性では約55倍(同55.4、35.5〜82.4)であることが示された。他のがん種に関しては、乳がんサバイバーの女性では乳がんの罹患歴がない女性と比べて子宮体がんの発症リスクが87%、骨髄性白血病の発症リスクが58%、卵巣がんの発症リスクが25%高かった。
さらに、乳がん診断時の年齢も二次がん発症リスクに関係することが明らかになった。乳がん診断時の年齢が50歳以上だった女性では、対側の乳房の乳がんも含めたあらゆる二次がんを発症するリスクは17%(SIR 1.17、95%CI 1.16〜1.18)の上昇にとどまっていたが、診断時の年齢が50歳未満の女性ではそのリスクは86%(同1.86、95%CI 1.82〜1.90)高いことが示された。乳がん診断時の年齢がその後の二次がんリスクに関係する理由についてAntoniou氏らは、若いときに乳がんを発症する女性は、より高年齢で乳がんを発症する女性と比べてBRCA1/2のようながん関連遺伝子の病原性変異体の割合が高く、また、これらの変異体を持つ女性では、対側の乳房の乳がんを始め卵巣がん、膵臓がんなどの発症リスクが高まるとの報告のあることに言及している。(HealthDay News 2024年4月25日)

 

脱毛に悩むがん治療患者に手作りのケア帽子(2024/05/11 陸奥新報)

【5月11日 陸奥新報】がん治療による脱毛に悩む患者のために役立ててもらおうと、ケア帽子の普及を進める「わた帽子の会」(赤石敏子会長)は9日、手作りのケア帽子31個をつがる市に寄付した。同会は、がんを経験した弘前市の赤石さんがケア帽子の重要性を感じ、10年ほど前に立ち上げた。ケア帽子の普及を進め、がん治療に希望を持ってもらおうと県内外の病院や患者の会などに贈る活動に取り組んでいる。つがる市へは2回目。同市が2022年度に県内の自治体で初めて実施したがん患者対象の医療用補正具購入費補助金交付事業を知り、協力できればと昨年11月に続く寄付を決めた。

赤石会長やがん患者とその家族でつくる「ろくつがるの会」の長内道子会長が市役所を訪れ、島田安子健康福祉部長にケア帽子を手渡した。「この帽子があるので安心して治療してほしい。帽子を知ってもらい、一人でも多くの患者が喜んでくれたらうれしい」と話し、島田部長は「心のこもったケア帽子を頂き、ありがたい」と感謝した。

ケア帽子は薄手の軽い素材や浴衣生地、ニット生地など季節や服装に合わせて気軽に使えるよう、さまざまな色や柄のものを作った。希望者は市健康推進課または国保年金課まで。
 両会はケア帽子を作るための生地を募っている。問い合わせは長内会長(電話0173-35-7264)へ。

 

森永製菓、独自素材で「長寿遺伝子」発現の増加確認(2024/05/09 日経)

【5月9日 日本経済新聞】森永製菓は9日、パッションフルーツ由来の同社の独自素材「パセノール」の成分が「長寿遺伝子」とされるサーチュイン遺伝子の発現を増加させることを確認したと発表した。ヒトでの発現増加の研究報告は世界で初めてという。今後パセノールを活用した商品開発や外販に注力する。

パセノールはパッションフルーツの種子に多く含まれるポリフェノールの一種であるピセアタンノールを独自技術で抽出したもの。研究では281名を対象にピセアタンノールを摂取した場合と、しなかった場合の遺伝子発現量を比較したところ、摂取したグループで発現量が有意に増加した。

9日に都内で開いた研究成果の発表会で、森永製菓の太田栄二郎社長はパセノールを「当社だけの閉じたものにせず、さまざまな企業と共につくり上げたい」と話した。今後本格的に外販に着手し、供給先を広げる。供給を予定するパートナー企業として出席したコーセーの渋沢宏一常務は「化粧品だけでなく、栄養機能食品での活用も検討したい」と話した。

森永製菓は2006年にパセノールの研究に着手し、12年にピセアタンノールの成分抽出に成功した。13年に成分を含む初の商品を発売し、16年からは食品原料として外販も始めている。

 

ビタミンDが腸内細菌を変えてがんを抑える、驚きの関係、研究(2024/05/08 NATIONAL GEOGRAPHIC)

【5月8日 ナショナルジオグラフィック】体内でがんが増えるのを抑えたいとき、私たちの免疫系は最大の味方になってくれるが、そのためには少しばかり後押しが必要な場合がある。4月25日付で学術誌「Science」に発表された論文によると、腸の組織に含まれるビタミンDが、ある腸内細菌を増やし、それがリンパ球の一種であるT細胞を刺激してがん細胞を攻撃させている可能性があるという。

 がん治療の効き方に患者の腸内細菌叢(マイクロバイオーム)が関係しているらしいことは、2018年に発表された一連の研究で示されていた。T細胞のブレーキを外し、がんへの攻撃力を高める「チェックポイント阻害薬」が効く人とそうでない人では、腸内でよく見られる細菌に一貫した違いがあることが明らかになったのだ。
ビタミンDにも、がん予防での役割を示す証拠は以前からあったが、今回のマウスを使った研究で明らかになった、腸内細菌を通じたビタミンDと免疫系のつながりは驚きだ。ビタミンDは脂肪分の多い魚や卵の黄身などから取れるほか、太陽の光を浴びることで皮膚内で作られ、代謝や骨、筋肉、神経、免疫系の健康に重要な役割を果たす。  

 

唾液の診断だけで下咽頭がんを早期発見可能に 岡山大が発表(2024/05/06 朝日新聞)

【5月6日 朝日新聞アピタル】のどの奥にできる下咽頭(いんとう)がんを、唾液(だえき)の成分を調べるだけで早期に発見できることを岡山大の衣笠秀明助教らの研究グループが確認し、発表した。下咽頭がんに対する有効な血液腫瘍マーカーはこれまでなかったといい、内視鏡を使った検査がされていた。この技術を応用すれば、ハイリスクな患者の早期発見につながる可能性があるという。

研究成果は3月27日、学術雑誌「British Journal of Cancer」のオンライン版に公開された。

研究グループによると、咽頭がんは症状が出にくいといい、がんが進行してから見つかる割合が高いとされる。特に下咽頭がんは悪性度が高く、進行期での5年生存率は40%以下という。

研究グループは、岡山大学病院で下咽頭がんで内視鏡治療をする患者61人と、このがんではない患者51人の唾液中のDNAを抽出し、がん化に影響を及ぼす遺伝子の「メチル化」について、その頻度を比較した。

 

 その結果、下咽頭がん患者の方がメチル化が極めて高かった。また広島市民病院の下咽頭がん患者26人の唾液で調べても、22人(約85%)の患者から高いレベルのメチル化が検出された。

 

 CBD市場、240億円 23年ユーロモニター調べ(2024/05/01 日本食糧新聞)

【4月18日 ユーロモニター】日本のCBD(カンナビジオール)およびその他非中毒性カンナビノイドの合法市場は、23年に前年比49%増の240億円に到達したと発表した。国内のユーザー数は約58万8000人と推定している。

 第一三共、新型抗がん剤の治験 乳がん適用拡大へ(2024/04/30 日経)

【4月30日 日本経済新聞】第一三共は30日、主力の新型抗がん剤「エンハーツ」の乳がんを対象とした臨床試験(治験)について、第3段階の結果概要を発表した。一般的な化学療法のグループと比べて病状の改善がみられた。エンハーツは現在、一部の乳がんにしか適用が認められていない。日本を含めた世界各国で適用拡大に向けた承認申請の準備を進める。

今回対象としたのは最も患者数の多いタイプの乳がん。治験には866人が参加した。安全性についての新たな懸念は見つからなかった。治験の詳細な結果は今後、学会で発表する予定だという。

エンハーツは抗体薬物複合体(ADC)の一種。がん細胞に直接抗がん剤を届けられるため従来品より高い効果が期待できる。全身的な副作用を抑えられる利点もある。

 小野薬品、米バイオ医薬企業を3700億円で買収 がん分野強化、欧米事業拡大へ(2024/04/30 産経)

【4月30日 産経新聞】小野薬品工業は30日、米ナスダック市場に上場する米バイオ医薬企業デシフェラ・ファーマシューティカルズを約24億ドル(約3700億円)で買収すると発表した。デシフェラはがんを対象とした医薬品の研究開発や販売をしており、買収によって欧米事業を拡大し、新薬研究を強化する。

デシフェラは2003年設立のベンチャー企業で、米国のほか欧州各地に拠点を持つ。がん細胞の増殖に関わる酵素を阻害する抗がん剤など新薬候補を複数保有。消化管壁にできる悪性腫瘍の一種を治療する薬は40カ国以上で承認されている。

 CBDを希少病医薬品に指定 大麻草由来で国内初(2024/04/26 日経)

【4月26日 日本経済新聞】厚生労働省の専門部会は26日、大麻草由来の抗てんかん剤カンナビジオール(CBD、海外での販売名はエピディオレックス)の希少疾病用医薬品への指定を了承した。国内で大麻草由来の医薬品が指定されるのは初めてだ。

希少疾病用医薬品とは、患者の数が少なく治療法も確立されていない疾病への薬を指す。

 アセトアルデヒドがDNA損傷 飲酒ががん引き起こす可能性(2024/04/25 毎日新聞)

【4月25日 毎日】アルコール摂取後に体内で生成されるアセトアルデヒドがDNAを傷つけていることをヒトの細胞で明らかにしたと、東京都医学総合研究所のチームが発表した。生物にはDNAの傷を修復する機能が備わっているが、損傷が大きいと、がんや老化現象を引き起こすことが知られている。アルコールが体に及ぼす悪影響の一因の可能性がある。

アセトアルデヒドはアルコールが体内で分解される過程でできる有害物質で、頭痛や胸やけなどの二日酔いの原因だ。

チームは、DNAの傷を修復する遺伝子の働きをなくしたヒトの免疫細胞と、正常な免疫細胞にそれぞれアセトアルデヒドを加えた。すると、遺伝子の働きをなくした細胞は、正常な細胞よりも約3倍死にやすかった。

 

アセトアルデヒドにさらした細胞では、がん細胞に頻繁に見られる異常な染色体構造ができていることもわかった。
DNAの損傷と修復が何度も繰り返されると老化が早まるという先行研究がある。チームは、アルコールによるDNA損傷が、加齢性の疾患を引き起こすリスクにつながっている可能性を指摘する。

 「膵臓がん」抗がん剤効きにくい原因は、「細胞を取り巻く大量のコラーゲン」…岡山大などチーム発表(2024/04/25 読売新聞)            

【4月25日 読売】がんの中でも治療が難しい 膵臓すいぞう がんは、がん細胞を取り巻くように蓄積する大量のコラーゲンが抗がん剤の効き目を悪くしていることを確かめたと、岡山大や東京大、東北大などのチームが発表した。コラーゲンの蓄積を抑える薬剤を併用すれば、抗がん剤の治療効果を高められる可能性があるという。論文が国際科学誌に掲載された。
膵臓がんは発見が難しい上、抗がん剤が効きにくく、国内では年間約4万人が亡くなっている。国立がん研究センターが1月に発表したデータによると、10年生存率は5・8%で、がん全体(53・5%)よりかなり低い。
チームの狩野光伸・岡山大教授と田中啓祥・同大助教らは、膵臓がんの患者から採取した細胞を特殊な容器で培養し、コラーゲンを含む層状の組織を再現することに成功。このコラーゲンの層が抗がん剤などの透過を妨げていることを実験で確かめた。さらにコラーゲンの増加には「 ROCKロック 2」というたんぱく質が関わっていることを突き止めた。ROCK2の量を減らす薬剤を加えると、コラーゲンの蓄積は4割程度に抑えられ、薬剤の透過率は約4倍に増えた。
狩野教授は「ROCK2の働きを抑える薬剤と抗がん剤を組み合わせ、投与の仕方を工夫すれば、治療効果を高めつつ副作用も減らせるのでは」と話す。

  “肝臓の炎症防ぐ特殊な免疫細胞を発見”と発表 大阪大学など(2024/04/28 NHK)

【4月25日 NHK News】腸内細菌などが原因で起きる肝臓の炎症を防ぐ特殊な免疫細胞を発見したと大阪大学などのグループが発表しました。生活習慣の乱れなどによる肝臓の慢性の炎症の新たな予防法や治療薬の開発につながる成果だとしています。

大阪大学の石井優教授らのグループは、独自に開発した炎症を画像化する技術でマウスの肝臓を観察したところ、腸から血液が流れ込む血管「門脈」の付近では、炎症が比較的軽く抑えられていることを確認しました。
この部分を詳しく調べたところ、細菌などを捕まえて分解したり、炎症を抑える物質を産み出したりする免疫細胞「マクロファージ」の1種を新たに発見しました。
この特殊な「マクロファージ」の機能が働かなくなるようにしたマウスの肝臓では、通常のマウスと比べて炎症が広がりやすいことが確認され、この「マクロファージ」が血管を通じた細菌などの侵入から肝臓を守っていることが分かったということです。

また、腸内細菌が胆汁から作る酸にこの免疫細胞を増やす作用があることを突きとめたほか、生活習慣の乱れなどで起きる「MASH」と呼ばれる病気など肝臓の慢性の炎症がある人では、このマクロファージが減っていることが確認できたということで、こうした病気の予防法や治療薬の開発の手がかりになるとしています。
(この研究成果は日本時間の25日、国際的な科学雑誌「ネイチャー」のオンライン版に掲載されました。)

 理科大、米ぬか由来のナノ粒子が優れた抗がん活性を有することを確認(2024/04/23 マイナビ)  

【4月22日 東京理科大】東京理科大学(理科大)は4月22日、細胞や臓器間のコミュニケーション、ほかの生物との相互作用などにおいて重要な役割を果たす天然のナノ粒子(NPs)である細胞外小胞「エクソソーム」様の米ぬか由来ナノ粒子(rbNPs)が優れた抗がん活性を有することを解明したと発表した。
同成果は、理科大 薬学部 薬学科の西川元也教授、同・鈴木日向子氏(研究当時)、同・板倉祥子助教、理科大 薬学研究科 薬科学専攻の佐々木大輔氏(研究当時)、理科大 薬学部 生命創薬科学科の草森浩輔准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、ナノスケール科学との接点に重点を置いた生物学に関する学術誌「Journal of Nanobiotechnology」に掲載された。

   がん免疫薬の効果を予測 血液検査で高精度に―近畿・京大(2024/04/16 時事通信)

【4月16日 JIJI.COM】免疫を活性化してがん細胞を攻撃する、オプジーボなどのがん免疫治療薬の有効性を、血液検査から高い確度で予測する手法を近畿大と京都大などの研究グループが発見した。オプジーボなどの免疫治療薬は高額な一方、治療の効果がある患者は全体の1~2割にとどまるため、研究グループは早期に治療薬の有効性が分かれば、医療費の削減につながるとしている。論文は2日付の国際臨床医学誌電子版に掲載された。
オプジーボなどのがん免疫治療薬は、免疫細胞の表面にあるたんぱく質「PD―1」などと結び付き、そのブレーキ作用を妨げることでがん細胞への攻撃力を高める。  

 早期乳がんを切除せず治療 「ラジオ波焼灼療法」保険適用 乳房の変形や傷痕、最小限に(2024/04/16 東京新聞)       

【4月16日 TOKYO WEB】早期の乳がんに対する新しい治療法が昨年12月から保険適用になった。皮膚から細い針を刺してラジオ波という電磁波を流し、熱でがんを焼く方法だ。手術に比べて乳房の変形や傷痕が少なくて済み、患者への負担が少なくなると期待されている。
RFAは2004年に肝臓がんで保険適用となった。乳がんについては、13年から国立がん研究センターを中心に、早期の患者を対象とした臨床試験が実施され、手術での切除の場合と再発率がほぼ変わらないことが分かった。安全性や有効性が認められ、昨年12月に保険適用に。費用は3割負担の場合、入院費などを含めて15万円ほどだという。 
対象は早期の乳がん患者の中でも、20歳以上の女性で、腫瘍が一つのみで転移がなく、大きさが最大径1・5センチ以下であることなどが条件だ。

乳がんの治療効果が事前に予測可能なAIシステム開発成功へ(2024/04/12 CRI)

【4月12日 CRI】中国南部の広東省人民病院によると、同院乳腺腫瘍科の王坤教授が先頭に立って開発した非侵襲AI(人工知能)システムは、手術後に補助化学療法を受けた乳がん患者の残留腫瘍負荷(RCB)を早期に予測することができるということです。このAIシステムは最近、国際定期刊行物・米国外科学会の公式機関誌「外科年鑑(Annals of Surgery)」に収録されました。

 現在、残存腫瘍負荷(RCB)の等級付けは乳がんの新たな補助治療効果を評価する基準の一つとして公認されています。この基準は患者が補助化学療法を受けた後、その原発巣の範囲、がん細胞の密度、陽性リンパ節の数、リンパ節がん巣の最大径などのパラメーターを測定することによって、患者の治療効果を総合的に評価するものです。RCBの等級が低いほど、治療効果が高いことを示しています。RCB-0級と判断された場合、乳がんが病理的に完全に緩和されたことを示し、またRCB-3級の場合は乳がんに治療抵抗性があることを示します。そのため、補助化学療法の初期でRCB-3級と判断された患者に対しては、医師が化学療法レジメンを適時調整したり、患者のために適切な手術またはフォローアップの戦略を策定したりするなどに役立ち、臨床上の意思決定にとって極めて重要な意義があると見られています。
しかし、現在の臨床現場では、RCB等級を早期に非侵襲的に予測できるツールはまだ不足しています。このような状況に対して、王坤教授をはじめとする研究チームは磁気共鳴イメージングを切り口として、乳がん患者の磁気共鳴データを利用して、乳がんの異なる分子亜型に対応する世界でも初のAIシステムを構築し、補助化学療法の初期段階で乳がんのRCB等級を正確に予測する方法を生み出しました。このシステムにより、RCB 0~1級で治療効果が高い患者を正確に予測できるだけでなく、RCB-3級で化学療法の効果がない患者を早期に識別することができます。

キリン、プラズマ乳酸菌の発見・事業化が令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞!(2024/04/11 マイナビ)   

【4月11日 マイナビニュース】キリンホールディングスは、科学技術に関する研究開発、理解増進において顕著な成果を収めた功績をたたえる「令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」(主催:文部科学省研究振興局)で、プラズマ乳酸菌の発見・事業化が、「科学技術分野 科学技術賞 開発部門 文部科学大臣表彰」を受賞した。

同表彰の受賞はキリングループとしては初のこと。業績名は「免疫の司令塔を活性化する乳酸菌の世界初の発見と事業開発」。

受賞には以下の3つのポイントがある。1つ目は、ウイルス感染防御を行う免疫の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞を、安全な食素材で直接活性化する乳酸菌(L. lactis strain Plasma、プラズマ乳酸菌)を世界で初めて※1報告したこと。2つ目は、2020年に日本で初めて免疫機能の機能性表示食品として届出受理されたことで“免疫機能”を持つ新たな食品市場を創出し、国民の健康維持への貢献を可能としたこと。3つ目は、プラズマ乳酸菌が、生きた状態(生菌)でなくても効果を発揮する特性を生かし、国内外の企業と連携して幅広い商品展開を行い、免疫市場の創造・拡大に貢献したこと。

 

 「紅麹」サプリ摂取後に死亡した3人、前立腺がんなどの持病…患者95人中3人が重い腎障害(2024/04/09 読売)            

【4月9日 読売オンライン】小林製薬(大阪市)の「 紅麹べにこうじ 」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、厚生労働省と日本腎臓学会は9日、記者会見を開き、サプリ摂取後に死亡した5人のうち3人に前立腺がんなどの持病があったことを明らかにした。同学会は、健康被害を訴えている患者95人の症状などの調査結果も公表し、3人が重い腎障害のため人工透析を受けていたことがわかった。
死亡した5人の情報は同社が厚労省に報告したもので、年齢は70歳代が3人、90歳代が1人、不明が1人だった。性別は女性3人、男性2人だった。うち3人は持病が明らかになり、それぞれ▽前立腺がん▽血液がんの一つである悪性リンパ腫▽高血圧・高脂血症・リウマチだった。死因は明らかになっていない。残る2人の持病の情報は不明だという。

 東レ、開発中の抗がん剤 動物実験で効果確認(2024/04/10 日経)   

【4月8日 日本経済新聞】東レは8日、開発中の抗がん剤の研究成果について発表した。東京慈恵会医科大学、帝京大学とそれぞれ共同で実施した動物実験で、腫瘍の増殖を抑えつつ、心機能の低下といった副作用を既存の抗がん剤よりも抑えられることを確かめた。今後、製薬会社などと組み実用化を目指す。

開発中の抗がん剤「TXB-001」は、乳がんの治療などに使われるアンスラサイクリン系抗がん剤に東レが技術的な強みを持つポリマーが結合している。抗がん剤が患部に集中的に集まり、作用することで治療効果を高める一方、副作用の軽減が期待できる。

非臨床研究として東京慈恵会医科大、帝京大とそれぞれ共同で予後が悪い乳がん細胞を移植したマウスなどで実験した。その結果、薬を投与しない場合と比べて腫瘍の増殖は約5分の1に抑えられ、心機能の低下は認められなかったとしている。

今後、製薬関連企業などと組み臨床試験(治験)などを進める。自社での生産、販売ではなくライセンス供与する方針だ。提携先は2年以内に見つけたいとしている。
今回の成果は5日から米国サンディエゴで開かれている米国癌学会で発表した。

 

 コーヒーをよく飲む人は「大腸がんの再発や転移のリスク」が明らかに低いとの研究結果、1日に何杯飲むのがベスト?(2024/04/06 GigaZine)

【4月6日 GigaZine】大腸がんは男女ともに2番目に多いがんですが、早期の治療により高い確率で完全に治癒するため、早期発見だけでなくがんが治った後の再発予防も重要視されています。コーヒーをよく飲む人は、大腸がんの再発リスクが有意に低くなるとの研究結果が報告されました。

 多くの研究により「コーヒーの摂取は大腸がんリスクの低下と関連している」と報告されています。その一方、大腸がん患者の約20~30%が、がんの再発を経験すると推測されているにもかかわらず、世界で最もよく飲まれている飲料のひとつであるコーヒーとがんの進行との関係はわかっていませんでした。

「大腸がんの再出現や他の場所への転移」として定義される再発とコーヒーの摂取の関連性を調べるため、オランダ・ワーゲニンゲン大学のアビソラ・M・オイエレレ氏らの研究チームは、ステージI~IIIの大腸がん患者1719人が食生活などについて答えた前向きコホート研究のデータを分析しました。ステージIVの患者が除外されたのは、がんが治癒していない人が含まれるため、再発に関する今回の研究にはそぐわないからだとのこと。
分析の結果、コーヒーを1日1杯以下しか飲まない大腸がん患者に比べて、1日5杯以上飲む患者は6年の間にがんが再発する確率が32%低いことがわかりました。
また、コーヒーを飲む習慣とあらゆる死因での死亡リスクとの関連性を分析したところ、1日5杯以上コーヒーを摂取していた人は1杯以下の人より全死因での死亡率が29%低く、またコーヒーの摂取量が2~4杯の場合は38%も低下していました。つまり、コーヒーの死亡リスク低減効果は2~4杯でピークに達し、5杯以上飲むと死亡リスクがわずかに上がっていました。
このことから、研究チームは「コーヒーの摂取量は1日3~5杯が最適と思われ、特に4杯飲むと死亡リスクが最も低くなっていました」と結論づけました。

がんの県民性が判明、死亡率全国マップ公開 ワースト県はどこ?(2024/04/05 日経クロストレンド)   

【4月5日 日経トレンディ】2024年5月号では、「健康常識の真実」を特集。実は、都道府県によってがんの罹患(りかん)率や死亡率に違いがあることはご存じだろうか。胃がんは秋田県、肝臓がんは佐賀県──、衝撃データを公開する。

死亡率最小は長野県、ワーストは青森県

胃がんは秋田県、肝臓がんは佐賀県──。同じ日本でも、都道府県によってがんの罹患率や死亡率に違いがある。全部位のがんを合計した死亡率(高齢化の影響を除いた年齢調整率)は、2004年から22年まで19年連続で青森県が最も高い。青森県は塩分摂取量、喫煙率、肥満率が全都道府県で上位というデータがある。がんは生活習慣病から発症につながるケースが多く、これらが罹患リスクを高めている可能性がある。
地域によってかかりやすいがんの種類も異なる。その土地の生活スタイルや自然条件、住民が持つ遺伝子などが影響している。例えば胃がんは、秋田県や青森県、山形県といった東北地方の日本海側や、新潟県などの北陸地方に多いが、これは「塩分摂取量が多いことが一因。塩分過多が胃粘膜を傷つけ、ピロリ菌が増殖することで胃がんリスクが高まる」(東京大学大学院医学系研究科の中川恵一特任教授)という。

がん細胞を狙い撃ち、手術なしで根治を目指す—山形大学医学部東日本重粒子センター:観光資源×医療ツーリズムで地方創生(2024/04/05 nippon.com)

【4月5日 山形大学医学部東日本重粒子センター】放射線治療の一種「重粒子線治療」へのニーズが高まっている。炭素イオンを光速の70%に加速してがん細胞に照射してダメージを与えるこの治療法は、従来のX線治療よりも効果に優れるうえ、副作用のリスクが低いからだ。

北日本唯一の重粒子線施設である東日本重粒子センターの佐藤啓(ひらく)放射線治療科診療科長は、治療についてこう説明する。
「重粒子線は、通常の放射線であるX線の約3倍の生物学的効果があり、手術をせずにがんを根治させること、がんを制御することが期待できます。例えば前立腺がんでは、照射した5年後に再発なく、がんを制御できている割合はおよそ9割。肺がんや肝臓がんにおいても、重粒子線を当てた部位は8〜9割が制御できています」
放射線を照射してがん細胞のDNAに傷をつけるというメカニズムは、X線や陽子線などと同じだが、重粒子線は、DNAの2本の鎖を2本とも切断する割合が高い。すると、簡単にはDNAを修復することができず、がん細胞は死に至る。このため、通常の放射線がなかなか効かない、骨肉腫などの放射線抵抗性のがんにも効果が期待できるというわけだ。

重粒子線はがんの特定の部分だけを集中的に照射することができ、周辺の正常細胞を傷つけることがないため、副作用を抑えることができる。また、効き目が強いため、短期で治療を終えることが可能だ。例えば、肝臓がんでは2〜4回の照射がおよそ1週間で終わる。照射回数が比較的多い子宮頸がんでも16〜20回で、治療期間は4〜5週間程度となっている。さらに、1回の照射時間は十数分から数十分で、照射中に痛みを感じることもない。 

第一三共、新型抗がん剤の治験開始 副作用抑制へ検証(2024/04/04 日本経済新聞)

【4月4日 日本経済新聞】第一三共は4日、抗体薬物複合体(ADC)の技術を活用した卵巣がん対象の抗がん剤の実用化に向けて、臨床試験(治験)を始めたと発表した。ADCはがん細胞に作用する抗体に抗がん剤を付加したもので、薬を直接がん細胞に運び、全身に及ぶ副作用を抑制できる。難治性の卵巣がんなどの治療を目的に、薬事承認に向けて効果や安全性を検証する。

3段階ある治験のうち、2〜3段階にあたる「第2相」「第3相」を米製薬大手のメルクと共同して世界規模で実施する。日本を含むアジアや北米などから約650人の患者が参加する予定だ。標準的な製剤が効かずに再発し、難治性となった卵巣がんや卵管がんを治験の対象とする。
第2相では有効性と安全性を評価し、第3相に向けて推奨される用量を決める。第3相では他の治療薬を投与したグループと比較した効果などを検討する。標準的な製剤に耐性をもったがんに対する有効な手立ては少ないため、新たな治療の選択肢として確立するよう研究開発を進める。

 

がん治療薬オプジーボ、効く患者と効かない患者見分ける手法開発…「効果予測へ向けた重要な一歩」(2024/04/02 読売新聞)            

【4月2日 読売新聞】2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した 本庶ほんじょたすく ・京都大特別教授や近畿大などのチームは、肺がんの大半を占める「非小細胞肺がん」に対し、本庶氏が開発に貢献したがん免疫治療薬「オプジーボ」が効く患者と効かない患者を見分ける手法を開発したと発表した。採血した血中たんぱく質から簡便に判定でき、早期の実用化を目指す。論文が2日、国際医学誌に掲載された。
オプジーボは、がんを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を活性化する一方、効果の出ない患者が一定数いるのが課題となっている。年間約12万6000人が発症する肺がんでは約2割の患者しか効かないという。 
チームの林秀敏・近畿大主任教授らは、薬が効くかどうかの鍵となる血中の「PD―L1」や「CTLA―4」などのたんぱく質に着目。非小細胞肺がんの患者50人の血液を、医療機器大手シスメックス(神戸市)が開発した検査機器で分析した結果、この2種類の濃度が低い人ほど、オプジーボの治療効果が高い傾向を示すことがわかった。
従来、患者の肺から採取した組織のたんぱく質濃度を調べていたが、採血で検査できれば、体への負担が軽く、予測精度の向上も期待できるという。本庶氏は「がん免疫治療の効果予測へ向けた重要な一歩」とコメントしている。

罹患者数で見る「乳がん」の都道府県ランキング 最新版「全国がん登録」データからわかること(2024/03/31Yahoo)

【3月31日 東洋経済】日本で乳がんと診断される女性の数は増加しており、いまや9人に1人が乳がんになる時代だ。最新の女性のがんの部位別罹患者数では、乳がんが1位、死亡数も4位となっている。さらに、乳がんのかかりやすさ、亡くなりやすさには特有の地域差があることもわかってきた。
ランキングを見ると、熊本県、沖縄県で高く、東京都、青森県、北海道がほぼ同率で続き、長崎県や福岡県など九州地方も多い。
乳がんが増加する背景にはまず、高脂肪・高タンパク質の欧米型食生活への移行があるとされている。長寿県で知られた沖縄県をはじめ、一部の九州地方でも伝統的な食習慣が変化し、欧米型の食生活が取り入れられたことで、女性の肥満が極端になり、閉経後の乳がんの罹患率の上昇につながった可能性がある。
最新の研究で、乳がんのリスクを高める生活習慣もわかってきた。
 確実なのは「閉経前の過度な飲酒」「閉経後の肥満」の2つで、ほかには「閉経前の肥満(BMI30※以上)」「喫煙・受動喫煙」「閉経前のホルモン剤使用」も可能性がある。予防として確実なのは、運動、授乳(出産)、大豆(イソフラボン)摂取という。

光照射で細胞を好きな場所に接着し、免疫によるがん攻撃を観察 阪大など(2024/03/29 SciencePortal)

【3月29日 サイエンスクリップ】光を照射して生きた細胞をひとつずつ好きな場所に瞬時・精密にくっつける技術を、大阪大学産業科学研究所の山口哲志教授(生体機能関連化学)らのグループが開発した。この技術により、免疫細胞ががん細胞を攻撃する様子をリアルタイムで観察することができた。がんなどの治療から産業まで幅広い分野で応用が期待できるという。

第2世代のPEG脂質を用いると、いつもは血管内などで浮遊している細胞を光を照射した場所にくっつけることができる。

 

 がん細胞の不均一性を調べるため、免疫を担うナチュラルキラー(NK)細胞とがん細胞をアレイの上にひとつずつ並べて相互作用を観察すると、NK細胞ががん細胞を殺す過程や、殺さなくても一部を取り込む過程を確かめることができた。がん治療の高度化への寄与が期待される。
情報産業では巨大IT企業5社からなる「GAFAM(ガーファム)」がプラットフォーマーとして注目を集めるが、1細胞解析技術も生物研究を支えるプラットフォーマーとして今後に期待したいと思う。

「日本人には果物が足りない」 がん罹患率と死亡率が低下…ダイエットにも最適な理由とは(2024/03/26 Yahoo)

【3月26日 デイリー新潮】現代の食生活に不足しているものは何か。「野菜」と答える人が多いのではないだろうか。しかし、それ以上に摂取が求められているものがある。健康食材なのに、数々の誤解のもとで目標値の半分以下しか食べられておらず……。日本人には「果物」が足りない! 【田中敬一/つくば生命科学研究所所長・農学博士】

 昨年、健康的な生活を送るための食物摂取量の目標値を定めた「健康日本21」(厚生労働省)が10年ぶりに改訂され、1日あたりに摂取すべき果物の量は200グラムとなりました。しかし、令和元年の「国民健康・栄養調査」(同)によれば、日本人の果物平均摂取量は96.4グラムに過ぎず、目標である200グラムの半分以下で、充足率は48.2%にとどまっています。つまり、日本人はいまの倍以上、果物を食べるべきなのです。

コラーゲンの合成には、アセロラやイチゴに多く含まれるビタミンCが必須であるため、ビタミンCが不足するとコラーゲンでできている血管は脆くなるといった具合に、果物に含まれる個々の栄養素と健康との「因果関係」は分かっています。しかし、それよりも何よりも、果物を多く食べることで、果物が豊富に含むビタミンやミネラルなどを種類を偏らせることなく、バランスよく摂取できること自体が、健康をもたらしてくれると考えられるのです。

第一三共 エンハーツは今後3年間で7つの適応症取得へ 治療可能な患者数は現状2倍増の10万人超を想定(2024/03/25 ミクスonline)

【3月24日 ミクス】第一三共のケン・ケラーオンコロジービジネスユニット長は3月22日、抗体薬物複合体(ADC)・エンハーツの事業説明会に臨み、2024年度から3年間で新たに7つの適応症を取得する計画を明らかにした。新規適応症が全て承認されると、2026年度には治療可能な患者数が2倍以上に増加。エンハーツで治療する患者数はグローバル全体で10万人を超えると見通した。エンハーツの他にHER3-DXd、Dato-DXdを加えると、「今後3年間で新たに13のポートフォリオの成長カタリストが待ち受けている」と強調。「がん領域のグローバルリーダーへと着実に変革している」と述べ、同社が描くグローバルTOP10への道筋に期待感を込めた。

24年度は、「HER2発現固形がん がん種横断的治療(試験:DESTINY- PanTumor02 etc)」で、承認されるとエンハーツはがん種横断的治療を適応症とする初めてHRE2を標的としたADCとなる。25年度は、①HR陽性/HER2低発現乳がん・化学療法未治療(試験:DESTINY-Breast06)、②HER2陽性転移性乳がん1次治療(試験名:DESTINY-Breast09)、③HER2遺伝子変異NSCLC 1次治療(試験名:DESTINY-Lung04)、④HER2陽性ネオアジュバント乳がん(試験名:DESTINY-Breast11)、⑤HER2陽性 転移性胃がん2次治療(試験名:DESTINY-Gastric04)-。「2025年度はエンハーツにとって重要な1年となる。最大5つの新規適用症の可能性がある」と強調した。

英キャサリン妃、がんを公表 治療の「初期段階」(2024/03/23 CNN)

【3月23日 ロンドンCNN】ロンドン(CNN) 英キャサリン皇太子妃(42)は22日、がんと診断され治療の「初期段階」にあることを明らかにした。

キャサリン妃はSNSで公開した動画で診断に触れ、「大きな衝撃」を受けたと振り返った。キャサリン妃は腹部の手術を受けた後、2カ月間にわたり一時的に公務から身を引いていた。ケンジントン宮殿は手術当時、がんではないと説明していた。

キャサリン妃は動画で、「1月にロンドンで腹部の大きな手術を受けた。当時はがんではないと考えられていた」と説明。「手術は成功したものの、術後の検査でがんが見つかった。このため、医療チームから予防的な化学療法を受けるべきだと助言され、いまは治療の初期段階にある」と語った。

そのうえで「ウィリアム(皇太子)と私は家族のため、このことを個人的に受け止めて対処しようと手を尽くしてきた」と明かした。
ケンジントン宮殿はがんの種類や進行状況など、これ以外の医学的な詳細は公表しない見通し。

がんの骨転移をAI検出 東京医歯大、早期発見に期待(2024/03/22 日本経済新聞)

【3月22日 日本経済新聞】東京医科歯科大学病院の佐藤信吾講師や同大の吉井俊貴教授らは、骨に転移したがんをコンピューター断層撮影装置(CT)の画像から自動で検出する人工知能(AI)を開発した。転移の早期発見につなげられるとみている。転移に伴う骨折や脚のまひなどの防止を狙い、数年以内の実用化を目指す。

骨転移は内臓などにできたがん細胞が脊椎や骨盤に移動して増える状態を指す。がん細胞が骨を壊す破骨細胞を活性化し、骨折しやすくなる。骨をつくる細胞を刺激することもあり、異常に成長した骨が脊髄の神経を圧迫して脚などのまひが起きる。こうした症状で通院が難しくなると、がん治療を続けにくくなる。

 

CT画像から骨転移を見つけるのは専門家でも難しく、見逃しによって骨の異常が悪化してしまう課題があった。研究チームは同大病院で撮影したがん患者のCT画像を使ってAIを開発した。脊椎に骨転移のある約260人の患者から得た約6000枚の画像を専門医が分析し、転移の位置を記入した。転移のない患者の画像約8万9000枚と合わせてAIに学習させた。

 

がん発症リスク、2年間で10%痩せると2倍に増加「意図せぬ体重減少に注意して」(2024/03/21 yahoo)

【3月21日 Medical DOC】アメリカのダナ・ファーバー癌研究所らの研究グループは、「体重減少とがん発症との関連を調べた結果、2年間で10%以上体重が減少した人は体重減少がなかった人と比べて、その後1年間の新規がん発症率が有意に高くなった。意図せぬ体重減少は、意図的な減量と比べて約2倍の新規がん発症率だった」と発表しました。(アメリカのダナ・ファーバー癌研究所らの研究グループによるもので、成果は学術雑誌「JAMA」に掲載されています。)

明星 智洋 医師(江戸川病院): 今回の研究を臨床に活かすことはなかなか難しいところではありますが、体重も含めた日々のセルフチェックを定期的にモニタリングして、意図しない変化があった際には、積極的に悪性腫瘍のチェックをおこなっていくことが重要であると思います。その前提として、悪性腫瘍の発症率は年齢とともに高くなっていくので、症状がなくても定期的にがん検診を受けましょう。

海外の患者も受け入れへ 世界最新の陽子線がん治療装置を日本で初導入 岐阜県美濃加茂市の医療センター(2024/03/16 メーテレ)

【3月16日 メーテレ】岐阜県美濃加茂市にある医療センターに、がんの陽子線治療を行う世界最新の装置を備えた施設が完成しました。
陽子線治療は、がん細胞をピンポイントで照射できるため、他の正常な細胞へのダメージが小さく、通院での治療が可能とされています。

美濃加茂市の中部国際医療センターに開設された「陽子線がん治療センター」は、様々な方向から照射できるアメリカ製の世界最新の治療装置を日本で初めて導入し、今月1日から診療を開始しました。センターは、「海外からも患者を受け入れていきたい」としています。

県産農作物からがん治療薬研究 山口大学生、青パパイアに注目(2024/03/16 Yahoo)

【3月16日 毎日新聞】山口県内の耕作放棄地で育てられた青パパイアで口腔(こうくう)がんの新たな治療薬を創ろうと、山口大の学生約20人で構成する団体「県産農産品からつくる新医薬品」が日夜研究に挑んでいる。団体代表で山口大医学部5年の木村綾佑さんは「副作用で苦しむがん患者を救えるのでは」と意気込む。  創薬は授業中の発見から始まった。木村さんは、光市産のグリーンバナナの皮に口腔がん細胞の抑制作用があることを発見。県内の農産物は、「岩国れんこん」など固有種が多いことから、新たな成分が期待できるという。また、規格外の農産物や食べられずに廃棄される部位を活用することでフードロスの削減などにもつながる。


学生の挑戦を見守ってきた山口大大学院医学系研究科講師の原田耕志さん(口腔外科)は「学生らの研究は、従来の口腔がん治療で課題となっている副作用を大幅に低減させる可能性がある」と意義を評価する。

高須院長、4月22日にがん手術決定 抗がん剤治療が奏功し決断「癌細胞弱ってきた…全部殲滅手術する」(2024/03/14 Yahoo)

【3月14日 Yahoo】高須クリニックの高須克弥院長(79)が14日、自身のX(旧ツイッター)を更新。4月22日にがん手術を行うと発表した。
今年1月に新たながんが発見され、「癌検査、抗癌剤注入」と報告していた高須院長。その治療が奏功し、「かっちゃんの癌細胞弱ってきた」と写真を添えてがん細胞の弱体化を報告。その結果「4月22日に全部殲滅手術することに決定したぜ」と、来月に手術を行うと決断し、「攻め続けるかっちゃんなう」と決意を新たにした。  高須院長は14年に尿管がんが発見されて以降、腎臓がんなども発覚し、18年9月に「全身がん」を公表。21年10月には膀胱に抗がん剤を直接投与するという、世界でも未承認の治療を自らの責任で決行。がん細胞は「ほとんど死滅した」と報告していたが、その後がん細胞が再び発見され、治療を再開していた。さらに23年5月には「右膀胱側壁部膀胱癌」と印字された診断書を投稿し「がん細胞リターンなう」と報告。翌6日に手術を受け、「膀胱癌手術成功。死んでたまるか」と報告していた。

 

希少がんである神経膠腫の画像評価精度を向上させるAI技術を開発(2024/03/13 MONOist)

【3月13日 MONOist】富士フイルムは2024年2月28日、国立がん研究センターと共同で、MRI画像から神経膠腫(グリオーマ)の疑いのある領域を精密に抽出するAI(人工知能)技術を開発したと発表した。

 同技術は、頭部MRI画像から神経膠腫の領域を抽出するアノテーション作業を、富士フイルムのAI技術開発支援サービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」によって効率化し、作成したデータをAIに学習させて開発したものだ。神経膠腫の疑いのある領域を抽出し、その体積を計測できる。
同技術により、神経膠腫の治療前画像を高精度に評価できるようになるため、早期発見や診断精度の向上、治療計画の最適化などに役立つ。

富士フイルムは今後、SYNAPSE Creative Spaceを活用したAI技術の社会実装に向けて、同技術を搭載した製品の早期市場導入を目指す。

 

がん新薬照準、住友ファーマが26年に日米で市場投入めざす(2024/03/10 Newswitch)

【3月10日 ニュースイッチ】住友ファーマはがん領域の医薬品開発を加速する。欧州で急性白血病治療用のメニンたんぱく質・MLLたんぱく質結合阻害剤「DSP―5336」の治験を行う地域を広げているのに加え、2026年度に日米で急性骨髄性白血病での承認取得と市場投入を目指す。27年度に市場投入を目指す骨髄線維症治療用経口PIM1キナーゼ阻害剤「TP―3654」も、カナダで治験を実施する地域を広げている。ともに「承認を目指せるものとして開発活動を進める」(野村博社長)と強調する。
DSP―5336はたんぱく質間の相互作用に起因する白血病関連遺伝子の発現を抑制し、正常血液細胞への分化促進による抗腫瘍作用が見込める。急性骨髄性白血病では5年生存率30%以下や骨髄移植なしでの根治が難しいケースがあり、新規治療法の開発が求められている。
DSP―5336は22年に、急性骨髄性白血病への適応で米食品医薬品局(FDA)から希少疾病用医薬品であるオーファンドラッグの指定を受けている。日本と米国、カナダ、韓国、台湾、シンガポールで単剤での試験を進めており、24年度上期にフェーズ2試験を始める予定。さらには欧州連合(EU)当局の治験実施許可を受け、EU圏内での治験を増やしている。治療選択肢が限られるため、対照薬を置かない単群フェーズ2での承認を目指す。

同社は急性白血病や骨髄線維症のほかにも膠芽腫(こうがしゅ)や固形がん向けで臨床試験を進めている。自社開発の医薬品の事業展開、ノウハウ蓄積が中長期的な成長にもつながるため重視する考えだ。

 

がんリスク確認が1回5分の採血だけで。“タイパ時代”の先端検査をリアル体験してみた|STORY(2024/03/09 magacol)

【3月9日 STORY】時間のない人でも、簡単にがん検査。
健康な人であっても、人には1日で5000~6000個のがん細胞が生まれるのですが、その都度、「免疫」で退治しているのだそう。しかし免疫力の低下するタイミングで抵抗力が落ちると、がんが育ち始める。がん細胞の大きさが1mmほどになると、がんは血液中のブドウ糖を得るため新生血管で近くの血管とつながり、酸素と栄養を吸い取り増殖していく……というなんとも不気味な構造。 増殖の過程で、新生血管を通じて血管内に漏れ出し、血中を循環しているがん細胞を「CTC(血中循環がん細胞=Circulating Tumor Cell)」と言います。その血中のがん細胞を検出することで、 全身のがんのリスクを細胞レベルで発見することができる先端のがん検査がCTC検査なのです。


日本国内での認知度はまだ低い状況ですが、CTC検査は世界では既に2万9000もの関連論文が発表されています。がん検査には皆さんご存知のPET、CT、MRI検査などがありますが、1回ですべてを網羅することができず、部位別に検査すると時間も費用もかかるため、忙しい、時間がないという理由で検査を受けない人も多いのですが、マイクロCTC検査は1回の採血だけなので手軽なのです。 また、マイクロCTC検査は血液中に漏れ出したがん細胞の個数まで提示するので、簡易的な早期リスク検査とは違い、自分の状態を詳細に知ることができるのです。

 

ヒトラクトフェリンの細胞内送達によりがん細胞増殖を抑制(2024/03/07 東京工科大学)

【3月7日 東京工科大学】東京工科大学(東京都八王子市、学長:香川豊)大学院 バイオ・情報メディア研究科の栗本大輔(博士課程3年)、同トルン ディン ハゥエーアン(修士課程2年)、同佐藤淳教授らの研究グループは、ヒトラクトフェリン(hLF)(注1)をがん細胞内に送達させることで、がん細胞の増殖を阻害する現象を見出しました。

hLFによるNa+/H+交換輸送体7(NHE7)(注2)の発現促進を介して、がん細胞内小器官のpH恒常性を破綻させる新たなメカニズムによるもので、新たながん治療法への応用などが期待されます。

本研究成果は、学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」オンライン版(2024年1月5日)に掲載されました。hLFを用いたバイオ医薬品の開発は、バイオベンチャー企業の株式会社S&Kバイオファーマにおいて進められています。     

 

遺伝子ノックダウンによるNHE7の機能阻害は、膵臓がん細胞の増殖を抑制しますが、正常細胞の増殖に対しては影響しないことから、近年がん治療の標的として期待されています。本研究では、NHE7ノックダウンは、ヒト肺腺がん細胞の増殖を阻害しない一方、hLF-HSAによるNHE7の発現促進は、膵臓がんと肺腺がんの両方の増殖を阻害することを見出しました。これらから、がん細胞へのhLF-HSA投与は、より有効性の高いがん治療法として期待されます。    

 

細菌を利用したがん治療アプローチを開発 台湾(2024/03/05 Science Portal Asia Pacific)

【3月5日 中央研究院】台湾の中央研究院(Academia Sinica)の研究チームが、がんの治療アプローチとして細菌を利用することで、がん細胞に対する微小環境を調節できることを突き止めた。1月31日付発表。この研究成果は、EMBO Molecular Medicineに掲載された。

腫瘍微小環境(TME)には、がん細胞の増殖に有利な特異的選択圧(differential selective pressure:DSP)が存在し、TMEにおけるがん細胞の優位性を逆転させるには、1種類だけの治療法では不十分なことが多い。

生物医学研究所(Institute of Biomedical Sciences)のユン・モウ(Yun Mou)博士率いる研究チームは、TMEに細菌を外来種として導入し、腫瘍根絶のためにDSPを変化させる組み合わせ治療戦略の研究に取り組んできた。

研究の結果、化学療法薬や食事指導介入と組み合わせることで、細菌によるがん抑制の効果を強化できることが明らかになった。

さらに、マウスを使った実験では、免疫原性の薬剤(オキサリプラチン)と細菌の併用により相乗効果が得られ、TMEにおける先天性免疫と適応免疫の両方が活性化して、腫瘍の完全寛解と持続的な抗腫瘍免疫学的記憶がもたらされることが確認された。ただし、非免疫原性の薬剤(5-FU)と細菌の併用では、このような相乗効果は見られなかった。

この研究結果は、細菌療法と免疫原性化学療法を組み合わせることで、免疫抑制性TMEに対して抗がん免疫を促進できることを示唆している。


腎細胞癌のICIによる術後療法で初めてOSが延長(2024/03/04 日経メディカル)

【3月4日 Oncology編集部】2024 ASCO Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU 2024)では、腎細胞癌の術後療法として初めて全生存期間(OS)を延長した結果が報告され注目を集めた。再発リスクが中等度から高度の淡明細胞型腎細胞癌に対する腎摘除術の術後療法として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブの投与はプラセボを投与した場合に比べてOSを有意に延長し、死亡リスクは38%減少したことが、第3相KEYNOTE-564試験の3回目の中間解析で明らかになった。一方、ニボルマブ単剤による術後療法はプラセボと比較して、無病生存期間(DFS)の有意な改善を示さなかったことが第3相CheckMate 914試験パートBの結果で示された。


進行腎細胞癌に対しては、1次治療として免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の併用療法による8年超の長期結果が初めて発表された。ニボルマブとイピリムマブの併用療法を検討した第3相CheckMate-214試験によるもので、観察期間中央値が99.1カ月でも併用療法の有効性は維持されていることが確認された。
これらの試験結果の解釈と日常診療への影響について、慶應義塾大学医学部泌尿器科学 教授の大家基嗣氏に解説してもらった。
(まとめ:日経メディカルOncology編集部)

 

がん治療の一大拠点へ、中部国際医療センターが「陽子線治療」スタート(2024/03/03 中日新聞)      

【3月3日 中部国際医療センター】中部国際医療センター(美濃加茂市)は1日、新たに「陽子線治療科」の診療を始めた。日本初となる世界最新の陽子線がん治療装置「プロビーム」(米バリアン社製)を導入。さらに今後、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」と呼ばれる最先端の治療法を取り入れる構想があり、がん治療の一大拠点を目指す。

がん治療は、手術、薬物療法(抗がん剤など)、放射線治療が三大治療法とされ、がんの種類や進行具合によって免疫療法などが組み合わされる。
 放射線治療は、がん細胞内のDNAにダメージを与え、がん細胞を破壊する。現在も広く使われているエックス線は正常な組織にも影響を与えてしまうが、陽子線は、その特性から正常組織への影響を最小限に抑えられるため、副作用や体への負担が少ない。治療時間が短く、通院治療もできる。   

 

治療標的の遺伝子変異15% がん種ごとに大きな差(2024/02/29 東京新聞)

【2月29日 東京新聞Web】国立がん研究センターは29日、国内の約5万例のがん遺伝子検査データを調べたところ、治療薬の標的となる遺伝子変異などがあったのは、全体の15・3%だったとの分析結果を発表した。薬が見つかるのは1~2割とされていた当初の想定に合致する結果。がんの種類によって割合が大きく異なることも明らかになった。

 患者ごとにがんの遺伝子を調べて治療する「がんゲノム医療」が実用化されている。これまで欧米のデータを分析した研究はあったが、日本人を主な対象にしたのは初めて。日本人に多い胆道がんや胃がん、子宮頸がんなどを含めた結果が判明した。
 チームは、100種類以上の遺伝子を一度に調べ、効果のある薬を見つける「遺伝子パネル検査」のデータを活用。2019年6月~23年8月に、がんゲノム情報管理センターに集められた4万8627例を分析した。
 がん種別で治療薬の標的となる変異などが見つかる割合は、甲状腺がんの85・3%が最も高く、浸潤性の乳がん60・1%、肺腺がん50・3%が続いた。割合が低いのは唾液腺がん、脂肪肉腫、腎細胞がんで、いずれも0・5%未満だった。
   

OIST、傷ついた細胞は修復後に細胞分裂をやめて「老化する」ことを発見(2024/02/27 マイナビニュース)   

【2月27日 マイナビ】沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2月22日、傷ついた細胞膜が修復された細胞は細胞分裂をやめ、老化することを明らかにしたと発表した。

同成果は、OIST 膜生物学ユニットの河野恵子准教授、同・須田晃治郎大学院生、同・森山陽介科学技術アソシエイト、ヌルハナニ・ラザリ博士研究員を中心に、東京大学、名古屋大学、名古屋市立大学の研究者らも参加した共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の老化と長寿の生物学を扱う学術誌「Nature Aging」に掲載された。

がん細胞は無限に分裂できるが、正常細胞は細胞分裂の回数上限があり、その上限は細胞によって異なるものの、決まった回数分裂した後には不可逆的に増殖を停止し、「老化細胞」となる。老化細胞といっても、不活発になって何もしないというわけではなく、代謝的にはまだ活発である。しかし、若い細胞や健康な細胞とは異なり、さまざまな分泌タンパク質を産生することで、近傍の組織や離れた場所にある臓器の両方で免疫反応を亢進させることがわかっている。このメカニズムは、我々の身体にとって創傷治癒の促進といったメリットを与える一方で、がんの促進や老化など、デメリットも引き起こしてしまうのである。
なお、細胞の内側と外側を区切る細胞膜は、シャボン玉の薄膜のわずか20分の1ほど(約5nm)の厚みしかない。つまり細胞は、筋肉の収縮や組織の損傷などによって容易に傷ついてしまう。そうした傷に対処するため、細胞にはある程度までの細胞膜損傷であれば自らを修復できるメカニズムが備わっている。そして細胞膜損傷を経験した細胞についてはこれまで、元通りに傷を修復して分裂を再開するか、もしくは傷を修復できず細胞死が引き起こされるかのいずれかの運命をたどると考えられてきたという。
近年は、ヒトを含む動物の体内にある老化細胞を除去することで、人体機能を若返らせることがさまざまな研究チームから報告されている。

   


口腔内細菌が放出する細胞外小胞が大腸がんの発症に関わることを解明(2024/02/26 MONOist)

【2月26日 MONOist】東京大学は、口腔内細菌の1種A. odontolyticusが大腸がんの初期発がん過程に密接に関与することを明らかにした。A. odontolyticus由来の細胞外小胞が大腸上皮細胞で炎症やDNA損傷を引き起こしていた。

A. odontolyticusは、大腸がんの発がん初期段階の患者の便中に多く存在する。研究グループは、A. odontolyticusが大腸がんの発症に直接的に関与するという仮説のもと、A. odontolyticusと不死化ヒト大腸上皮細胞を共培養し、大腸上皮細胞で炎症を起こすことを確認した。

また、A. odontolyticusと同じ口腔内細菌であるフソバクテリウム・ヌクレアタム(F. nucleatum)も、大腸上皮細胞で炎症を引き起こし、大腸がんの進展に関わることが知られている。しかし、F. nucleatumの病原性で重要な腸管上皮細胞への接着性は、A. odontolyticusでは低く、メカニズムが異なることが分かった。

A. odontolyticusが大腸上皮細胞で炎症を起こすメカニズムを解明するため、腸内細菌が産生する細胞外小胞「MVs(膜小胞)」に着目して検討を進めたところ、MVsがTLR2(Toll様受容体2)に作用し、炎症性シグナルを亢進することが示された。

続いて、A. odontolyticus由来のMVsは、腸管上皮細胞内で活性酸素種を増加させDNA損傷をもたらすことも明らかになった。同MVsは、培養細胞株だけでなくヒトiPS細胞由来のミニ腸モデルでも腸管上皮細胞のDNA損傷を引き起こした。さらに、マウスの大腸に経肛門的に同MVsを注入し続けると、DNA損傷に加えて腸管上皮に異形成が発生した。

DNA損傷につながる活性酸素種の増加には、A. odontolyticus由来のMVsが大腸上皮細胞に取り込まれることが必須であることも明らかとなった。取り込まれた同MVsがミトコンドリアに局在し、ミトコンドリアの機能障害を起こすことで、活性酸素種が過剰に産生される。
今回の研究成果は、大腸がんの新たな治療法や予防法の開発に貢献することが期待される。
   

「所得の差」と「がん発症リスク」との相関を発見、オランダの調査(2024/02/25 Forbes)

【2月25日 Forbes】過去30年間で、米国と西ヨーロッパ諸国におけるがんによる死亡率は低下してきた。検診と治療の改善がその減少の主な理由である。しかし、がんは依然として欧米で2番目に多い死因だ。さらに言えば、所得の差はがんの罹患率や死亡率の差と相関しているようである。現在進行中のオランダの全住民を対象とした研究によると、ほとんどの癌の罹患率は低所得者層ほど高い。


特に肺がんは、所得の低い人ほど罹患率が高い。Comprehensive Cancer Organization(包括的がん協会)のオランダ人研究者によると、肺がんは最も所得の低い層の男性では2~3倍多く発症している2という。

他のすべてのがんを調査した結果、研究者たちは、所得に依存した罹患率の差はわずかであると結論づけた。このパターンは女性にも男性にも見られる。

顕著なのは、高所得者ほどメラノーマ(悪性黒色腫)のリスクが高いことである。この所見に寄与していると思われる要因には、皮膚がんに対する認識が高いこと、日光への露出が多いこと、日焼けサロンの利用が多いことなどがある。

   

プラグマティック臨床試験 愛知県がんセンター がん領域初の試み 新治療の検証、患者ら負担減(2024/02/20 東京新聞)      

【2月20日 東京新聞WEB】愛知県がんセンター(名古屋市)が昨年12月から、「プラグマティック臨床試験」と呼ばれる新たな形の臨床試験に取り組んでいる。新しい治療法の効果を、できるだけ日常の診療現場で検証できるように簡素化して実施するのが特徴で、がん領域では国内初の試みだ。患者にとっても医師にとっても参加のハードルが低く、全国の医療機関から協力の申し出が相次いでいる。

臨床試験とは、新たな治療法や診断法について、有効性や安全性を検証する仕組み。病状や治療歴、既往歴、合併症の有無といった参加条件が細かく設定されている上、指定された医療機関で頻繁に検査したり、服薬中の薬をやめなくてはならなかったりと、患者の生活や治療に制約があることが少なくない。

 

 一方、今回の新しい臨床試験では、収集する検査データなどを必要最低限にし、日常の診療現場に沿う形で簡素化して実施する。プラグマティックとは、英語で「実用的」との意味だ。患者は参加しやすくなる上、実施にかかる人的、金銭的負担が少なく医療機関も取り組みやすい。
プラグマティック臨床試験は、簡素化した条件で実施するのが利点。医療機関も参加しやすいため、今回はがん診療連携拠点病院を中心に協力施設は250施設に上った。
試験期間は3年間。今年12月まで参加する患者の登録を進める。最終的に890人への投与方法を、従来のタイプと新案にランダムで振り分け、どちらが効果的かを比較して見極める。
「プラグマティック臨床試験は、新薬の検証には使いにくいが、既存薬の新しい使い方の検証に応用しやすい。低コストで単独の施設でも発案できるため、医師自身が診療の中で抱く疑問を検証することができる。効率の良い臨床試験の選択肢として広げたい」と同センター薬物療法医長の谷口浩也さんは話した。
   

ビールロング缶1本以上で大腸がんリスク 厚労省が初の飲酒ガイドライン(2024/02/19 産経)

【2月19日 産経新聞WEB】厚生労働省は19日、飲酒のリスクや体への影響をまとめた初のガイドラインを発表した。年齢や性別、体質、疾病別で異なる飲酒による健康リスクを示したほか、酒量より「純アルコール」の摂取量に着目することが重要としている。

指針によると、大腸がんの発症リスクを高める飲酒量の目安は、1日当たりビールロング缶1本に相当する約20グラム(週150グラム)以上などと例示。特に高齢者は体内の水分量の減少などで酔いやすく、飲酒量が一定量を超えると認知症が発症する可能性が高まる。


また、10~20代は脳の発達段階にあり、多量の飲酒で脳機能が低下するとのデータがあり、高血圧などのリスクが高まる可能性もある。女性は男性よりもアルコールの影響を受けやすく、少量でも肝硬変のリスクが高まるという。

指針では、健康リスクを減らすために、酒に含まれる「純アルコール量」を用いた健康管理を勧めている。純アルコール量は、アルコール度数と飲酒量、アルコール比重0・8の3つを掛けることで計算できる。

 

健康増進に向けて国が定めた基本計画では、生活習慣病のリスクを高める1日当たりの純アルコール量について、男性は40グラム以上、女性は20グラム以上と示している。20グラムはビール1本(500ミリリットル)、日本酒1合(180ミリリットル)に相当する。

 

 専門医に聞く、がんの正しい怖がり方。その知識はもう古い!?(2024/02/18 yahoo)

【2月18日 クロワッサン】がんとの付き合い方、○×式で古い知識を更新。
今は日本人の2人に1人はがんになる時代であるという。 「がんは死に結びつく病気なので、診断されると誰もがショックを受けます。がんは怖い。けれども怖いからといって逃げているのが一番よくありません」 と語るのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科医の勝俣範之さんだ。国立がんセンターを経てから現職に至るまで長きにわたってがんと向き合ってきた勝俣さんによれば、この30年のがん治療は驚くべきほどの進歩を遂げているらしい。が、その一方で、 「病気に対する一般の人の誤解も相当根強くあると思います」 理由は進歩に見合う、私たちの知識の更新ができていないから。 「なるほどがんは治すのは難しい。けれども今はうまく共存できる時代になりました。そのためにも冷静に情報を見分けて、正しく怖がりましょう」 がんになっても、あせらない・あわてない・あきらめない。勝俣さんは患者さん全員にこの言葉を送っている。
□がんは生活習慣病である【×】
□"がん家系"の人はがんになりやすい【×】
□50歳を過ぎるとがんになりやすい【○】
□定期検診のしていればがんは必ず見つけられる【×】
□初期のがんは症状がない場合が多い【○】
□女性ホルモンの増減はがんに影響する【○】
□がんは進行の具合によって、4つのステージがある【○】
□「緩和ケア」はいわゆる最後の手段である【×】
□「標準治療」より「先進医療」のほうが有効だ【×】
など。(クロワッサン 1104号より)

 

 映画プロデューサー叶井俊太郎氏死去、56歳 膵臓がん余命宣告から1年8カ月、倉田真由美氏夫(2024/02/17 日刊スポーツ)

【2月17日 日刊スポーツ】映画「アメリ」「いかレスラー」「ヅラ刑事」「日本以外全部沈没」などで知られる、映画プロデューサーの叶井俊太郎氏が16日に亡くなったことが分かった。56歳だった。東京都出身。

22年6月にステージ3の膵臓(すいぞう)がんで余命半年の宣告を受けたが、抗がん剤治療、手術を拒否して、1年8カ月生き続けた。夫人は漫画家の倉田真由美氏。

23年11月に、ステージ4のがんを発表した際には、文化人15人と“余命半年”をテーマに語り合った著書「エンドロール」(CYZO)を出版した。また、同12月公開の映画「恐解釈 桃太郎」ではエンドロールに「叶井俊太郎に捧ぐ」と入れるなど、最後までウイットに富んだ姿勢で仕事に人生をささげた。
叶井氏が医師の余命宣告を1年2カ月超える“偉業”を成し遂げて、永遠の眠りについた。22年6月に黄疸(おうだん)が出て検査、ステージ3で余命半年を告げられた。日刊スポーツの取材に「『余命は半年で、もって1年です』と。抗がん剤治療してから手術すると、10%から20%の成功率だと。手術してうまくいかなければ、かえってがんが暴れちゃう。だから、それはやめときますって言と」と免疫療法などをしながら、仕事を続ける道を選んだことを明かした。

 

 アステラス、新規がん免疫療法 米バイオ企業と共同研究(2024/02/16 日本経済新聞)

【2月16日 日本経済新聞】アステラス製薬は16日、新しいがん免疫療法の開発に向けて米バイオ医薬品企業のケロニア・セラピューティクスとライセンス契約を結んだと発表した。共同研究を実施し、商業化に関する条件も詰めた。アステラスは米国子会社を通じて、ケロニアに契約一時金として4000万ドル(約60億円)を支払う。

対象とするのは細胞の働きを高めた免疫細胞にがんを攻撃させる「CAR-T細胞療法」。アステラスとケロニアは最大で2タイプの治療法の創出を狙う。2タイプ目の治療法の研究を始める際、アステラスはケロニアに対して追加で3500万ドル(約52億円)を支払う可能性があるとしている。

CARーT細胞療法は患者本人の免疫細胞を使うがん治療法だ。一般的には、患者から取り出した免疫細胞に遺伝子を導入して、がん細胞に対する攻撃力を高めてから体内に投与する。アステラスとケロニアは患者から免疫細胞を取り出さず、患者の体のなかで免疫細胞の働きを高める「生体内CARーT細胞療法」の研究を進める。

両社が研究する生体内CARーT細胞療法は遺伝子の運び屋となるレンチウイルスを利用する。患者の体内にある免疫細胞に遺伝子を直接送り込み、がんを特定して攻撃する免疫細胞をつくる。患者から免疫細胞を取り出す従来のCARーT細胞療法に比べ、治療にかかる期間の短縮や患者の負担を軽減できる可能性がある。

最終的な製品開発と販売はアステラスの米子会社ザイフォス・バイオサイエンシズが担う。アステラスは今回の契約締結の連結業績に与える影響について「2024年3月期連結業績予想に織り込み済み」としている。

 

 がん治療は「臓器別」から「分子別」へ 患者ごとの最適化に期待(2024/02/12 朝日新聞)

【2月12日 朝日新聞アピタル】がん治療は臓器別に治療する方法が支流ですが、徐々にがん細胞が持つ分子に注目して治療法を選択できるようになりつつあります。つまり、手術であればがんができた場所が重要です。がんの診断はまずどの臓器にできたのか、そして周囲にどれぐらい浸潤しているのか、リンパ節や他臓器への転移の有無を問います。がんの進行度を表すステージ分類は外科的切除を念頭に置いた分類です。
一方で、抗がん剤治療では、がんができた場所よりもがん細胞の性質のほうが重要です。同じ胃がんでも、抗がん剤が効きにくいがんもあれば効きやすいがんもありますし、ある胃がんに有効な抗がん剤が、肺がんに効くこともあります。とはいえ、診断技術が進んでおらず、抗がん剤の種類も限られていたころは、臓器別に抗がん剤治療を行わざるを得ませんでした。

革命的な進歩の一つが分子標的薬の登場です。それまでの抗がん剤は細胞分裂を妨げることで作用しますが、分子標的薬はがん細胞の表面にある分子に働きかけることで効果を発揮します。

 酵素の老化抑制機能を解明=亜鉛と結合し活性酸素分解―京産大(2024/02/08 時事通信)           

【2月8日 時事通信ニュース】ヒトなどの細胞内にある酵素「ERp18」が老化を抑制する機能を持っていることを、京都産業大の研究グループが解明した。細胞内にある亜鉛イオンと結合して、老化を進める活性酸素の一つ、過酸化水素を分解する。細胞の老化や酸化ストレスを原因とする病気の予防や治療法開発につながる可能性があるという。論文は8日付の米科学誌「セル・リポーツ」電子版に掲載された。

ERp18は細胞内にある小器官「小胞体」に含まれる。炎症やアレルギーを抑制する酵素「チオレドキシン」とよく似た構造だが、詳しい役割は分かっていなかった。
研究グループはERp18を持つさまざまな生物のアミノ酸配列を調べた結果、亜鉛イオンと結合するとERp18が3個つながり、活性酸素の一つ、過酸化水素を水と酸素に分解することを確認した。
さらに、ヒトの細胞でERp18を作る遺伝子の働きを抑えると、過酸化水素が蓄積することが判明。また、線虫でも同様に過酸化水素が体内にたまり、遺伝子操作していない通常の線虫と比べて寿命が1割ほど短くなった。
ただ、細胞内でどのように亜鉛イオンと結び付くのかは解明できていない。研究グループの京都産業大生命科学部の潮田亮准教授は「亜鉛を小胞体に取り込ませ、効率よくERp18に亜鉛を結合させる薬剤を開発できれば、老化が原因の病気の予防や治療法開発につながることが期待される」と話している。

   「乳がん」治療に「副作用のない新たな抗体薬」の可能性、東北大など(2024/02/11 Yahoo)

【2月11日 Yahoo!ニュース】東北大などの研究グループが、世界で初めて乳がんのがん細胞にのみ反応する特異的な抗体開発に成功した。東北大のリリースによれば、副作用のない抗体医薬品の開発につながる研究成果だという。
乳がんと診断される患者数は年間9万7812例(男性670例、女性9万7142例、2019年)で、女性の患者数は年々上昇傾向にある。部位別がん罹患数では女性の第1位が乳がんだ(第2位は大腸がん、2019年)。
乳がんにはいくつか種類(サブタイプ分類)がある。がん細胞の表面にHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)という細胞増殖に関係するタンパク質が過剰発現しているタイプをHER2型といい、乳がんの約20%(胃がんの20%も)だが、悪性度が高く、進行が速いとされてきた。

このHER2型乳がんの薬物療法としては、HER2に対する抗体薬(がん細胞の目印である抗原にのみ結合し、がん細胞を死滅させる薬剤)としてトラスツズマブ(ハーセプチン)などを用いる。だが、トラスツズマブは、がん細胞以外の正常細胞に対しても高い反応性を示し、そのため特にHER2タンパク質が必須な心臓に対して副作用があった。

トラスツズマブの副作用を軽減し、その機能を発揮させるためには、がん細胞のみに特異的に作用させる必要がある。東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野の加藤幸成教授の研究グループは、すでに2014年、がん細胞を特異的に攻撃するCasMab(Cancer-specific Monoclonal antibody)という抗体薬の開発に成功しており、今回HER2のみを特異的に標的とする抗体薬HER2-CasMabを作成、乳がんに対してトラスツズマブと同等の抗腫瘍効果を示すとともに正常な上皮細胞には全く反応しないことを実験細胞を用いた研究で示した。

 セルセプトを「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」治療に、パラプラチンを「子宮体がん」治療に用いることを保険診療の中で認める―厚労省(2024/02/09 GemMed)

【2月9日 GemMed】臓器移植後の拒絶反応抑制などに用いる「ミコフェノール酸 モフェチル」(販売名:セルセプト)について、新たに「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」治療に用いることを保険診療の中で認める―。

多くのがん化学療法に用いる「カルボプラチン」(販売名:パラプラチン)について、新たに「子宮体がん」治療に用いることを保険診療の中で認める—。

厚生労働省は2月5日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。同日(2024年2月5日)から保険適用範囲が拡大されています。

従前、我が国において医薬品の承認・保険適用手続きが複雑で時間がかかることを原因といた「ドラッグ・ラグ」(欧米の先進諸国で使用できる医療用医薬品が我が国で保険診療において使用できない)が問題視されました(現在、新たな「ドラッグ・ラグ」が問題視されており、2024年度薬価制度改革での対応が図られる。

 

 治療の難しい「がん」に新たな免疫療法を開発、北大など(2024/0208 Yahoo)

【2月8日 YahooJAPAN】我々の免疫系には、がん細胞を発見して攻撃する機能が備わっている。だが、がん細胞もこの免疫機能を逃れようとする。今回、北海道大学などの研究グループが、免疫機能から逃れようとするがん細胞を攻撃する新たな免疫療法の技術開発に成功した。

リンパ球の一種で免疫系の司令塔となるT細胞の中でも、CD8+T細胞というキラー細胞(細胞傷害性T細胞)は、がん細胞を発見して攻撃、死滅させる役割を持つ。がん細胞を発見するメカニズムは、がん細胞の表面に発現するT細胞受容体により、がん抗原を特異的に認識することで機能する。

 

このCD8+T細胞は、がん細胞を溶かしたり(パーフォリン)、グランザイムという酵素により、がん細胞の自死(アポトーシス)を誘導するなどしてがん細胞を殺傷する。

今回、北海道大学大学院医学研究院の小林弘一教授らの日米共同研究グループは、がん細胞の表面でMHCクラスI遺伝子の発現がなぜ低くなるのかを考え、がん細胞のNLRC5遺伝子という制御因子(プロモーター)の発現がメチル化という遺伝子修飾を異常な形で受けることで、MHCクラスI遺伝子の発現低下を引き起こしていることに着目。


がん細胞のDNAを脱メチル化させる薬剤などはこれまでもあるが、重い副作用を生じさせることで問題も多いという。同研究グループは、TRED-IシステムがMHCクラスI遺伝子の発現に対して特異的に機能することから副作用も低く、将来的にはPD-1療法以外の抗免疫チェックポイント阻害療法に応用(併用)できる可能性があるとしている。また、TRED-Iシステムでは、単独でもCD8+T細胞が腫瘍の中心を効率的に攻撃することが観察されたという。

 

 英 チャールズ国王 がんと診断され治療を始めたと発表(2024/02/06NHK)

【2月6日 NHK WEB】イギリス王室は5日、チャールズ国王ががんと診断され治療を始めたと発表しました。詳しい病状などは明らかにしていませんが、一般市民の前に姿を見せての公務は当面見送るとしています。

75歳のチャールズ国王は、肥大した前立腺の治療のため1月26日からロンドン市内の病院に入院し、29日に退院しましたが、イギリス王室によりますとがんはこの際に見つかったということです。

前立腺がんではないという以外、がんの詳しい部位や進行の程度は明らかにしていませんが、5日からロンドン市内の病院に通いながら治療を受け、医師団の勧めで一般市民の前に姿を見せての公務は当面見送るとしています。

 

 すい臓がん早期発見へ、AIベースの予測システムが新成果(2024/02/02 MIT)

【2月2日 MIT Technology Review】すい臓がんは、発見の難しい病気だ。すい臓そのものが腹部の他の臓器の影に隠れているため、検査で腫瘍を見つけにくい。また、初期段階では患者に自覚症状がほぼないため、すでに進行した段階、身体の他の部分にがんが転移した状態になってから見つかる例がほとんどだ。こうなると、治療ははるかに困難になる。


マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究者チームは、ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)放射線腫瘍科のスタッフ科学者、リモール・アッペルバウム講師と協力して、すい臓がんの中でも大半を占める膵管腺がん(PDAC)の発症の可能性を予測するAIシステムを開発した。新たに開発された「プリズム(PRISM)」と呼ばれる人工知能(AI)システムは、発見が難しい、すい臓がんの早期発見につながる可能性がある。
▼対象600万人中、実際に膵がんが発症した人の35%を、診断の6-18ヶ月前に「ハイリスク」と識別した。

 

新規がん患者、世界で2千万人 22年推計、治療格差に警鐘(2024/02/01 東京新聞)      

【2月1日 ジュネ-ブ共同】世界保健機関(WHO)と傘下の国際がん研究機関(IARC)は1日、2022年に新規がん患者が約2千万人、死者が約970万人に上ったとの推計を発表した。人口の増加や高齢化を背景にがん患者は急速に増加し、50年には新規患者が3500万人超に達すると予測。先進国と途上国間だけでなく、同一国内でも治療の格差が広がりかねないと警鐘を鳴らした。

 185カ国からデータを集めて分析。22年の新規患者のうち肺がんが約248万人と最も多く、乳がんが約231万人で2番目、さらに大腸がん、前立腺がんと続いた。男性は9人に1人、女性は12人に1人ががんで死亡しているという。
 日本の新規患者は約100万人で、死者は約42万人。部位は男性で前立腺と肺、女性で乳房と大腸がそれぞれ多かった。
 IARCは生活水準の指標「人間開発指数」にも着目。先進国が多い高指数国では、女性の12人に1人が乳がんと診断され、71人に1人が死亡する。一方、低指数国では27人に1人の診断に対し、死亡するのは48人に1人と指摘した。


2023年に日米欧で承認された主な新薬まとめ(1)―がん/血液/神経・筋/精神・中枢神経(2024/01/31 AnswersNews)

【1月31日 AnswersNews】2023年に日本と米国、欧州で承認された主な新薬を領域別にまとめました。1回目は「がん(固形がん・血液がん)」「血液」「神経・筋」「精神・中枢神経」の4領域です。

・免疫チェックポイント阻害薬では、2022年に日本と米国で承認された英アストラゼネカの抗CTLA4抗体「イジュド」(一般名・トレメリムマブ)が欧州で2月に承認。
・血液がんでは、4つの新規二重特異性抗体が承認されました。
・新規モダリティの開発が活発な血液領域では、複数の遺伝子治療薬が承認されました。
・神経・筋領域では2つの核酸医薬が米国で承認。
・エーザイのアルツハイマー病治療薬「レケンビ」(レカネマブ)は米国と日本で承認を取得し、23年に世界で最も注目された新薬の1つとなりました。

ギリアド、ADC「トロデルビー」日本で申請・・・トリプルネガティブ乳がんの適応で(2024/01/30 Answer News)

【1月30日 Answer News】ギリアド・サイエンシズは1月30日、抗Trop-2抗体薬物複合体(ADC)サシツズマブ ゴビテカンを日本で申請したと発表した。適応は「全身療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性乳がん」。申請は、2つ以上の化学療法レジメンによる前治療歴のある患者を対象に行われた海外臨床第3相(P3)試験と国内P2試験の結果に基づく。Trop-2は、90%以上の乳がんを含む複数のがん種でがん細胞表面に高発現するタンパク質。同薬は「トロデルビー」の製品名で欧米など世界40カ国以上でトリプルネガティブ乳がん治療薬として承認されており、米国では尿路上皮がんの適応でも迅速承認を取得している。

「エンハーツ」米国でがん種横断の適応追加を申請(2024/01/29 Answer News)

【1月29日 Answer News】第一三共は1月29日、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」(一般名・トラスツズマブ デルクステカン)について、HER2陽性の複数の固形がんへの適応拡大の申請が米FDA(食品医薬品局)に受理されたと発表した。優先審査に指定され、審査終了目標日は今年5月30日に設定された。承認されれば、がん種横断的な適応を持つ初の抗HER2療法となる。申請は、▽前治療歴のあるHER発現の進行性固形がん(胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膵臓がん、希少がん)を対象とした臨床第2相(P2)試験▽HER2過剰発現等の切除不能・転移性非小細胞肺がんを対象としたP2試験▽HER2陽性の切除不能な進行・再発大腸がんを対象としたP2試験――などの結果に基づく。

佐賀大学が「白血病」の治療薬に関する研究成果を発表(2024/01/29 佐賀NEWS WEB)

【1月29日 NHK NEWS WEB】血液のがん「白血病」の治療薬に関する研究で、佐賀大学は、薬が効きづらくなったがん細胞の内部で特徴的な変化が起きている可能性があることがわかったと発表しました。
今後、新たな治療方法の確立につながると期待されています。

これは佐賀大学医学部の木村晋也教授らの研究グループが、29日、会見を開き、明らかにしました。

それによりますと、白血病の治療薬に関する研究で、「アザシチジン」という薬が効きづらくなるケースでは、がん細胞の内部で特徴的な変化が起きている可能性があることがわかったということです。
具体的には、がん細胞が、細胞の外から増殖に必要な材料を取り込まず、内部のアミノ酸から合成する仕組みが働いているとみられるとしています。

また、患者の血液では特殊な酵素が増えることもわかり、この酵素の発生を減らすと、がん細胞の増殖を抑える働きがあることも明らかになったということで、今後、新たな治療方法の確立につながると期待されています。

森永卓郎さん「休んでいる暇はない」…昨年末ステージ4すい臓がん公表 直後「死ぬ一歩手前」も人生観不変(2024/0/28 報知)

【1月28日 スポーツ報知】昨年末にステージ4のすい臓がんであることを公表した経済アナリストの森永卓郎さん(66)が、日本経済を斬る毎月第4日曜掲載のコラム「森永卓郎の本音」。今月は特別編として、リモートインタビューで現在の状況や今後に対する思いなどを聞いた。人生観について「病気の前と何一つ変わっていない」という森永さんは「止まることなく、とにかく進むしかない」と前向きに語った。

昨年12月27日、レギュラー出演するラジオ番組で突如、ステージ4のすい臓がんが見つかり、闘病中であることを明かした森永さん。同日から抗がん剤治療を開始していたが、実はその直後、生命の危機に陥っていた。

「正直言って私は納得していなかったのですが、サードオピニオンまで取って全部同じ見解だったので、すい臓がん用の抗がん剤を打ちました。でも、薬が合わなくて大失敗。12月29日に、本当に死ぬ一歩手前だったんです。その後に新薬を投与して、2週間ほど入院。ほぼ元の状態というか、抗がん剤を投与する前の状態に戻ってきました。ただ、ずっとベッドにいたので筋トレで筋力を戻さないといけないんです」

 

 今月中旬から、2018年に本庶佑さんがノーベル医学生理学賞を受賞したことで名前が知られるようになった、がん免疫治療薬「オプジーボ」を使用。現在は退院して治療を続けている。

 

あのモデルナが開発、mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信(2024/01/25 Newsweek)

【1月25日 Newsweek】研究者が癌に関する基礎科学の地平線を広げるなか、バイオテクノロジー企業は人体に備わった免疫を動員し、癌と戦おうとしている。

なかでも期待を集めるのが癌ワクチンの開発だ。まずAI(人工知能)を使い、免疫系に認識可能な癌性腫瘍の変異を特定。その上で免疫系が癌性腫瘍を見つけて破壊できるように、患者ごとにカスタマイズした個別化癌ワクチンを作る。

2017年、モデルナは製薬大手メルクと連携し、固形腫瘍を標的とする個別化癌ワクチンの臨床試験を始めている。ワクチンを設計するには患者の正常細胞と癌細胞のDNAの塩基配列を調べ、2つを比較して癌細胞に見られる数百~数千の変異を特定する。続いて強い免疫反応を引き起こす可能性が最も高い34種の変異を、AIを使って選ぶ。

AI学習用の生検サンプルは、大学の医療機関が提供する。AIには免疫学の原理を学ばせ、免疫細胞が最も認識しやすいタンパク質とアミノ酸の特徴を理解させる。

この情報を基に作られた個別化メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、体内に入ると免疫反応を誘発。34種の変異のいずれかが見られる細胞を攻撃するよう設計された免疫細胞を体は大量生産する。

 

新型コロナウイルスのワクチン開発にも使われたmRNAは、細胞に指令を出して腫瘍の目印となるタンパク質を産生させる。十分な量のタンパク質が作られると、免疫系はこれを検知して異物と認定。異物を見つけて破壊する免疫細胞を作り始めるのだ。
<本誌2024年1月30日号掲載>

 

早期乳がんの新治療始まる “切除より負担少ない治療に”期待(2024/01/25 NHK)

【1月25日 NHK】早期の乳がんの患者に対し、胸に細い針のような電極を刺して熱でがんを焼いて死滅させる新たな治療法が去年12月に保険適用となり、東京都内の病院で25日から患者への治療が始まりました。乳房を切除する手術よりも負担の少ない治療になると期待されています。
この治療法は「ラジオ波焼灼療法」と呼ばれ、外から細い針のような電極を刺して中で発生させた熱によってがんを死滅させるもので、新たに早期の乳がんへの治療法として去年12月、保険適用となりました。

対象となるのは
▽がんが1つだけで
▽がんの大きさが1.5センチ以下などの
条件に合った早期の乳がんで、治療は日本乳癌学会が認定した医療機関で行われるということです。

 

小児・「AYA世代」 がん患者 10年後の生存率 初公表(2024/01/25 NHK)

【1月25日 NHK NEWS】全国のがん拠点病院などでがんと診断された人のデータをもとに国立がん研究センターが小児や10代後半から30代の「AYA世代」と呼ばれる患者の10年後の生存率を初めて集計し、公表しました。

国立がん研究センターは、2011年に全国のがん拠点病院などでがんと診断された36万人余りのデータを分析し、このうち、0歳から14歳の小児の患者や、15歳から39歳の「AYA世代」の患者について治療開始から10年後の生存率を初めて集計しました。

小児がんでは
▼リンパ腫で91.5%、
▼白血病で86.6%、
▼脳腫瘍で71.7%などとなり、
AYA世代のがんでは
▼子宮頸がんと子宮がんが87.7%、
▼乳がんが84.0%、
▼脳腫瘍と脊髄腫瘍が78.2%などとなっていました。

また、5年後と10年後で生存率を比較したところ、小児がんは、生存率の低下はあまりみられませんでしたが、AYA世代のがんは、例えば乳がんで10年後の生存率が6ポイント以上下がるなどがんの種類によって異なっていたということです。

 

患者期待のALS治療薬「数年以内に承認取得したい」日本参入の米アミリックス「複数の神経変性疾患に治療薬提供」(2024/01/24 Answer News)

【1月24日 Answer News】神経変性疾患に対する治療薬を開発する米製薬企業アミリックス・ファーマシューティカルズが、昨年9月に日本法人を設立し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「AMX0035」の承認取得に向けて活動を本格化させている。

 

アミリックスは、当時米ブラウン大の学部生だったジョシュア・コーエン氏とジャスティン・クリー氏が共同経営責任者(Co-CEO)となって2013年に創業した企業。第1号の製品となったAMX0035は、ALS治療薬として初めて、臨床試験で身体機能と生存期間の両方で有効性を示し、2022年に米国とカナダ(条件付き)で承認を取得しました(米国製品名はRELYVRIO=レリブリオ)。日本では患者団体が早期承認を求める要望書を厚生労働省に提出している。

日本法人のアミリックス・ファーマシューティカルズ・ジャパンは、数年以内にAMX0035の承認を取得したい考えで、グローバルで開発が進むほかのパイプラインについても日本に導入していく方針。代表取締役日本事業統括責任者の小脇浩史氏は「神経変性疾患に苦しむ日本の患者に、複数の疾患で複数の治療選択肢を届けられるよう、日本事業を展開していきたい」と話している。

 

「老化のウソ」最新研究でわかった新常識。「1日3食」「ベジファースト」「日々の運動」は老化を促していた!(2024/01/23 ポストセブン)

【1月23日 NEWSポストセブン】私たちの目下の命題は、最期まで楽しく健康に生きるため「老化」をいかに食い止めるかということ。

だがそれは人間だけが背負わされた課題だと、東京大学教授で『なぜヒトだけが老いるのか』著者の小林武彦さんは言う。

「なぜなら、そもそも『老後』は人間にしか存在しないからです。メスの生殖能力が失われてから死ぬまでの期間を〝老後〟と定義した場合、閉経する年齢を迎えた後も生き続けるのは、シャチ、ゴンドウクジラ、ヒトのみ。遺伝情報がヒトと99%同じチンパンジーでさえ、閉経したらすぐに死ぬ。人間以外の動物はほぼすべて“ピンピンコロリ”なわけです。近年はペットの介護や看取りも話題になりますが、本来、野生の犬や猫に老後はない。ペットや動物園の生き物は人間に飼われているため、捕食されたり飢えたりする危険がありません。そのため、彼らは体が衰えても“死なずに済んでいる”ということ。彼らは人間の都合で老後が“つくられて”いる、特別な存在なのです」(小林さん)

つまり、陸上の哺乳類で老いて死ぬのはヒトだけなのだ。その有力な理由と考えられるのが「おばあちゃん仮説」だ。

 

オプジーボとヤーボイの併用療法が、8年間のデータで、スニチニブと比較して未治療の進行または転移性腎細胞がん患者において、引き続きこれまでに報告されている最長の生存ベネフィットを示す(2024/01/23 小野薬品工業)

【1月23日 ブリストルマイヤーズスクイブ】オプジーボとヤーボイの併用療法が、8年間のデータでスニチニブと比較して未治療の進行または転移性腎細胞がん患者において、引き続きこれまでに報告されている最長の生存ベネフィットを示す結果。
●オプジーボとヤーボイの併用療法は、スニチニブ群と比較して、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者において、治療開始から8年時点で、リスク分類にかかわらず、死亡リスクを28%低減しました。
●中リスクおよび高リスクの患者ならびに全無作為化患者において、免疫療法薬2剤の併用療法は、スニチニブ群と比較して、生存期間の延長および持続的な奏効を示しました。
●第Ⅲ相CheckMate -214試験の最新結果は、ASCO GU 2024で口頭発表されます。

英語原文のプレスリリース:https://www.bms.com/media/press-releases.html

 

【2023年国内医薬品売り上げトップ10】前年に続きオプジーボが首位、イミフィンジやフォシーガなど急成長(2024/01/22 Answer News)

【1月22日 Answer News】2023年の国内医療用医薬品売上高トップは、前年に続いて免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」(小野薬品工業)だったことが、調査会社エンサイスのスナップショットデータで明らかになりました。薬価ベースで1662億円を売り上げ、同「キイトルーダ」(MSD)との競り合いを制しました。上位10製品中6製品が1000億円を超え、うち4製品を抗がん剤が占めました。

トップ10のうち4位までは前年と同じ顔ぶれ。ただ、その合計売上高は1兆498億円から1兆1209億円へと6.8%増加。
初めてトップ10入りしたのは、免疫チェックポイント阻害薬「イミフィンジ」(アストラゼネカ)、同「テセントリク」(中外製薬)、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(小野薬品)、抗IL-4/13受容体抗体「デュピクセント」(サノフィ)の4製品。一方、後発医薬品の影響を受けた降圧薬「アジルバ」(武田薬品工業)、PPI「ネキシウム」(アストラゼネカ)、利尿薬「サムスカ」(大塚製薬)と、バイオシミラーが浸透してきた抗がん剤「アバスチン」(中外)はトップ10圏外となった。

 

がんリスク データ分析(2024/01/20 読売新聞オンライン)

【1月20日 読売新聞】愛媛大と診断薬・医療機器メーカー「ロシュ・ダイアグノスティックス」(東京都)は19日、個人の健診結果や血液データなどの医療情報を収集、活用して、がん発症リスクの予測を目指す「ヘルスケアデータサイエンス講座」を同大医学部に開設すると発表した。担当教授らは、2月からAIを使った大腸がんの発症リスク分析に取り組む。

医療情報を巡っては、昨年、国が法律を改正。個人情報を匿名化したうえで、研究機関などへ提供できるデータが拡充された。

ロシュ社は、欧米で健康診断のデータなどから大腸がんを早期発見するプログラムの開発に取り組んでいる。日本で研究するにあたり、県内の医療機関に多くの卒業生がいて、民間との産学協働事業を進める同大をパートナーに選んだ。

 

小児がん、未承認薬を投与 「ドラッグ・ラグ」解消へ―国立センター(2024/01/19 JIJI.com)

【1月19日 時事通信】海外では承認されているものの国内で未承認の治療薬について、国立がん研究センターは19日、小児や「AYA世代」と呼ばれる若年層のがん患者に投与する臨床研究を今月から始めたと発表した。海外で有効性や安全性が確認された分子標的薬を使用し、治療効果を踏まえた上で、将来的な薬事承認と保険適用を目指す。
分子標的薬は、正常な細胞にも作用する従来の抗がん剤と異なり、がん細胞だけを攻撃する。海外では開発が進む一方、国内では新薬の承認が遅れる「ドラッグ・ラグ」の問題が指摘されていた。  

 

米がん患者が増加 死亡率は低下も ~人種や所得に基づく格差は依然大きい~(2024/01/18 THE WALL STREET JOURNAL)

【1月18日 DIAMOND online】米国ではがんの治療で進歩がみられる半面、予防に関しては遅れている。乳がん、前立腺がん、メラノーマ(悪性黒色腫)といった代表的ながんの多くで罹患(りかん)率が上昇していることが新たな報告書で明らかになった。大腸がんは55歳未満の患者が増加している。がんの発症では低年齢化の傾向がみられるが、理由は完全には解明されていない。  がん患者の増加に加え、人種や所得別の死亡率などの格差は大きく開いたままで、がんによる死亡を減らす取り組みにおける過去30年の進歩に水を差しかねない。 今回の報告書は米国がん協会(ACS)が17日に発表した。
英語原文

胃がん腹膜播種を促進する中皮細胞の新たな役割を解明(2024/01/17 熊本大学)

【1月17日 国立大学法人熊本大学】公益財団法人がん研究会 がん研究所 発がん研究部の米村敦子研究助手、石本崇胤部長(熊本大学国際先端医学研究機構 客員教授)を中心とする研究グループは、藤田医科大学、シンガポール国立大学及びテキサス大学MDアンダーソンがんセンターとの共同研究により、腹膜播種に伴うがん性腹水中では中皮細胞の割合が増加し、その多くが間葉系の特徴を有する中皮細胞であることを発見しました。さらにこれらの中皮細胞が免疫抑制性の細胞の集積を促すとともに、癌細胞の腹膜への定着を促進することでがん性腹水中における腹膜播種促進性の環境を構築していることを明らかにしました。

・単一細胞レベルの網羅的なタンパク質分析の結果、腹膜播種(ふくまくはしゅ)に伴うがん性腹水中の中皮細胞※1には間葉系の特徴を有する中皮細胞※2が存在することがわかりました。

・これらの中皮細胞は免疫抑制性骨髄系細胞の集積に関与することでがんの進行に関わることがわかりました。

・さらに、間葉系の特徴を有する中皮細胞は細胞外マトリックスであるテネイシンCなどを産生することで癌細胞の腹膜への接着・コロニー形成に関与し、腹膜播種形成を促進していることを明らかにしました。
 

老化抑える脳細胞特定、マウス実験で寿命延長も成功…5年以内に人への応用目指す(2024/01/16 読売新聞)

【1月16日 読売新聞 】老化を抑える働きを持つ脳内の神経細胞をマウス実験で特定したと、米ワシントン大の今井眞一郎卓越教授(老化学)らの研究チームが発表した。この神経細胞を操作して老化を遅らせ、寿命を延ばすことにも成功しており、5年以内に人での臨床応用を目指すという。論文は米科学誌「セル・メタボリズム」に掲載された。

 

チームは、哺乳類の視床下部にある「Ppp1r17神経細胞」に注目した。遺伝子操作でこの神経細胞の働きを強化したところ、何も操作しなかったマウスより寿命が7~8%延びた。運動量も通常の1・5~2倍に増加したという。
この神経細胞は脂肪細胞を刺激し、老化を抑える働きがある「 eNAMPTイーナムピーティー 」という酵素を分泌させる。加齢とともにこの神経細胞の働きが衰え、老化が進むと考えられるという。今井氏は「人間でも同様の仕組みがあるか確かめ、抗老化の治療法の実現に向け、研究を進めたい」と語る。
 

子宮頸がん検診がアップデート HPV検査で「撲滅」も視野に(2024/01/15 朝日新聞デジタル)

【1月15日 朝日新聞 】日本では、国の指針で推奨されているがん検診は、肺がん検診、胃がん検診、大腸がん検診、乳がん検診、子宮頸(けい)がん検診の5種類です。これまでの研究から、これらのがん検診によってがん死亡率が減少することが示されています。
2024年4月以降から、子宮頸がん検診の指針がアップデートされます。これまで20歳以上に対して2年に1回の子宮頸部の細胞診でしたが、自治体によっては、30歳以上に対して5年に1回のヒトパピローマウイルス(HPV)検査が導入されます。20歳代に対しHPV検査による検診を行うと偽陽性が多く発生するため、20歳代はこれまで通り2年に1回の細胞診が推奨されます。

従来は2年ごとの細胞診検査をしていたのに対し、子宮頸がんのリスクが高い人とそうでない人を大別して、リスクが高い人には1年ごとという密な検査をして子宮頸がんへの進行を予防する一方で、リスクが低い人は検診の負担を減らすのが狙い。

ただし、すべての自治体でHPV検査による検診が導入されるわけではありませんので、詳しくはお住まいの自治体から届く検診のお知らせを確認してください。

 

 不正出血したら、すぐ受診を~子宮体がん・国立がん研究センター 加藤医師~(2024/01/14 時事メディカル)

【1月14日 時事メディカル 】子宮体がんの患者が増えている。閉経前後の50代をピークに40~80代の中高年層がかかりやすい。早期発見で完治を望めるので、自覚症状があればすぐに検査を受けることが重要だ。国立がん研究センター中央病院の加藤友康医師に話を聞いた。
◇二つのタイプ
子宮頸がんと子宮体がん
◇ステージⅠなら95%完治

「不正出血が2週間続いたり、閉経後に出血があったりした場合は早めに検査を受けることを勧めます」と加藤医師は話している。

 

「肝がん」は再発率70% 「お酒の飲みすぎ」だけが原因ではない! 肥満や生活習慣病でも高リスク(2024/01/13 AERAdot.)

【1月13日 AERAdot.】肝がんは、「ウイルスやお酒を飲む人の病気」と思っていませんか? それは大きな誤解です。実は近年、お酒を飲まない人に起こる肝炎である、「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」による肝がんが増えています。肝がんになりやすい人や早期発見の方法、治療の進歩などについて、解説します。
*2024年2月下旬発売予定の『手術数でわかる いい病院2024』より

肝がんは男性に多く、女性の2倍です。厚生労働省と国立がん研究センターにより2022年5月に公表された「2019年の全国がん登録」によると、2019年の肝がん罹患者数は3万7296人(男性2万5339人、女性1万1957人)で、男性では全がん中5位、女性では11位(数が少ないため、その他のがんとして集計)でした。年齢は50代から増加し始め、最も多いのは80~90代です。

「ウイルスとは関係のない病気が原因で起こる肝がんが増えています。その代表がNASHという、アルコールを飲まない、あるいは飲んでも1合程度の人に起こる肝炎によるものです」(長谷川医師)
また、急激なダイエットにより、肝細胞が栄養不足になることでNASHが発症することもあります。

「CBDは危険薬物だと思っていた」 大阪府警捜査一課の元スゴ腕刑事がつくるCBDブランド(2024/01/12 WWD)

【1月12日 WWD Japan】日本のCBD市場は近年活況で、ビューティ企業が次々にCBD配合のスキンケアやウェルネスグッズを発売するほか、CBDブランドを始める企業も増えている。若い世代を中心にCBDに対する理解が進む一方で、世間では“CBD=違法薬物の大麻”という誤った認識が根強い。そんなCBDのネガティブイメージに真っ向から挑むのが、オズジャパン(OZJAPAN)を立ち上げ、2023年12月にオリジナルCBDブランド「『凪』ナギ.ウェルネス(NAGI.WELLNESS)」をスタートした吉村文男社長だ。

約30年の警察人生で培った知識をもとに、弁護士や会計士などの専門家を含めたチームを組み、“お助けマン”として企業トラブルに向き合う中、「タイ人の理学博士が、高品質なCBDを日本に輸出したがっている」とクライアントから偶然舞い込んできたのがCBDの話だった。当初は知識もなく、「大麻なんて危険だ!」と警戒したが、調べていくうちに精神疾患や皮膚疾患などに有効であり、副作用もないと知った。「刑事時代、重度のうつ病患者の自殺現場に立ち会うことが多かった。CBDなら人の命を救えるかもしれないと考えた」。吉村社長は22年、チェンマイ大学で有機化学の理学博士号を取得し、現在はカセサート大学に所属するウィーラチャイ・フッドターウォング(Weerachai Phutdhawong)理学博士をパートナーに、小学生時代からの親友で輸入販売のノウハウをもつ城野靖也を副社長に迎え、ウェルネスに特化したオズジャパンを始動した。

女医ブロガー・居原田麗さん死去 42歳、4人の子供達残し… がん闘病つづったブログ支持集める(2024/01/11 スポニチ)

【1月11日 Sponichi Annex 】女医でブロガーの居原田麗さんが10日に死去していたことが11日、明らかになった。42歳だった。

居原田さんは医師でクリニックを運営する中、20年に子宮頸がんが発覚。肝転移、リンパ節転移、転移性肝癌、骨への転移を経た闘病の様子や4人の子供の育児などをブログで公開。インスタグラムのフォロワーは8万人近くを誇り、ブログは昨年12月19日まで更新していた。

病気を宣告されたのは2020年の2月。余命1年を宣告された際には「まだまだ小さい4人の子供たちを残しては死ねないから、どんな辛い治療でも頑張る覚悟です」とつづるなど、前向きに治療に取り組んでいた。

 

がんの患者の半数が示す「特徴的な変化」があった…「早期のがん」を見つけるために「検査結果でチェックすべきポイント」(2024/01/11 現代ビジネス)

【1月11日 国立がん研究センター 】*本記事は国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

■がんの検査自体が負担になることも

■がん患者さんの半数に貧血がみられる理由

 がん患者さんの半数は貧血を示し、がんによって体内に貯蔵された鉄をうまく利用できなくなるために赤血球の寿命が短くなったり、赤血球をつくれと命令するエリスロポエチンというホルモンが、がんによって起こる炎症の影響で減ってしまったりするからです。胃がん、大腸がんといった消化管のがんからの慢性出血や、血液細胞をつくる骨髄にがん細胞が入り込むこと(浸潤)によって貧血が起こる場合もあります。進行がんでは白血球の一種である好中球が増え、リンパ球が相対的に減ることがあります。炎症反応が起こると血小板も増えるので、がんになると血小板が増えやすいことも知られています。血液中には細胞がつくるさまざまな酵素が含まれており、特定の酵素の増減や、複数の酵素の量のバランスから、がんが疑われる場合もあります。


■肝臓と腎臓の機能を詳しく調べる
 血液の検査は、がんの存在だけでなく、患者さんの全身の状態を知るのにも役立ちます。
■腫瘍マーカーは目安にすぎない

 

ステージ4すい臓がんの森永卓郎氏 新薬は「半日で効いた」 「ミヤネ屋」に電話出演で病状報告(2024/01/10 デイリー

【1月10日 情報ライブ ミヤネ屋 】ステージ4のすい臓がんを公表した経済アナリストの森永卓郎氏が10日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に電話出演し、自身の現在の病状について語った。

治療として昨年12月27日に抗がん剤を打ったものの、「これが合わなくてですね。初めて、このままでは死ぬなっていうふうに思いました」と意識がもうろうとしたことを明かした。現在は新薬を服用しており、「新しい薬っていうのは体を元気にする薬なんですよ。がんをやっつける薬ではなくて、がんと闘うためには、まず食べられるようにして、体力を戻さないといけない」と話した。「半日で効いた。全く動けない状況が、もう半日で戻りましたから」と新薬は効果があったといい、2週間後に再び違う抗がん剤治療を試すという。

 

「やっぱり目標を失っちゃダメなんですよ。“何かしたい”っていう強いニーズがないと生きようと思わなくなっちゃう」と決意のほどを語っていた。

 

1~2分間の強い運動 がんのリスクを下げる可能性(2024/01/09 日経ビジネス)

【1月9日 日経ビジネス 】バスに間に合うようにバス停まで走る、重い買い物袋を持って車まで歩く――。そうした短時間の高強度の身体活動も、運動習慣のない中高年者ではがんのリスク低下につながる可能性があることが、英国の2万2000人余りを対象とした分析で示されました。(元記事

日々の生活の中で断続的に行う高強度の身体活動VILPA;vigorous intermittent lifestyle physical activity)と、がんの発症の間にどのような関係があるかを調べるために、日常生活での身体活動が少ない中高年者のVILPAを加速度計を用いて測定し、がん発症との関係を検討。
1日あたりの総VILPA時間の中央値は4.5分で、最大は16.0分でした。VILPAとがんリスクの関係を検討したところ、1日あたりの総VILPA時間が長い人ほどがん発症リスクが低く、総VILPA時間とがん発症の関係をグラフにすると、右下がりの直線に近い形を描きました。直線の傾きは、がん全体に比べ身体活動関連がんの方が急でした。

 1分以下のVILPAを合計すると全体の中央値である4.5分になっていた人では、VILPAを全く行っていなかった人に比べてがんのリスクが20%低く、身体活動関連がんのリスクは31%低くなっていました。 

 

 

日本の高齢者はどう見ても「クスリの飲みすぎ」…いまからでもストップできる「オマケ薬」の実名を公開する(2024/01/08 週刊現代)

【1月8日 週刊現代 】いま、自分の手元に何種類のクスリがあるか覚えているだろうか。そして、そのひとつひとつが何に効くクスリなのか、ちゃんと言えるだろうか。

東京都健康長寿医療センターの調査によると、降圧剤や抗血栓薬、糖尿病や骨粗鬆症のクスリなど、「毎日飲まなければならないクスリ」を処方されている75歳以上の人のうち、6割強が5種類以上、2割弱がなんと10種類以上も飲んでいた。全体の平均をとると6.4種類だというから、いかに日本人が「クスリ漬け」になっているかわかるというものだ。

ほんとうに、こんなにたくさんのクスリが必要なのか。そんな疑問を抱いたことがあるなら、いまこそ立ち止まって考えてみるべきタイミングだ。「薬やめる科」という診療科を設けていることで知られる、松田医院和漢堂(熊本県)の松田史彦院長が言う。

J&Jがアンブレックスを20億ドルで買収、がん標的療法取り込み(2024/01/09 ロイター)

【1月8日 REUTERS 】米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)は8日、がん治療薬を開発しているアンブレックス・バイオファーマ(AMAM.O)を20億ドルで買収することに合意したと発表した。体の正常な組織への影響を最小限に抑え、がん組織を集中的に治す「ターゲティング(標的)療法」の分野を取り込む狙いだ。

J&Jが提示した1株当たりの買収額は28ドルで、アンブレックスの直近終値に約105%のプレミアムを乗せた。

アンブレックスはこの標的療法に利用する「抗体薬物複合体(ADC)」を開発する企業。同社の「ARX517」と呼ばれる前立腺がん向けの療法は現在、初期段階の臨床試験に入っている。

標的療法に対する注目度は高まっており、ここ数カ月では関連の買収案件が立て続けに発表されている。

ジェルネイルって危険なの? DNAが損傷し、突然変異する可能性(2024/01/07 GIZMODE)

【1月7日 GIZMODE 】最新の研究によって、ジェルネイルの硬化に使われるUVドライヤーが手のDNAを損傷して、細胞の突然変異を引き起こす可能性があるとわかりました。IFLSが伝えています。

ジェルネイルが危険であるとは断言していないものの、一般的にネイルサロンで使われているUV硬化のドライヤーの影響で「ミトコンドリアとDNAが損傷したり細胞死したりすることが確認された」のは事実。

この実験では、ヒトとマウスの細胞にネイルドライヤーの紫外線を曝露しました。 まず20分間照射し、損傷修復のために1時間置いてから、さらに20分照射したところ、細胞の20~30%が死亡したとのこと。
20分の照射を3日連続で行った場合は、65~70%の細胞死が認められた。そして、細胞に見られた損傷は修復されず、ヒトの皮膚がんでみられるような突然変異が引き起こされた。

お茶は「最先端の健康飲料」だった! がんの成長、転移を予防…日本茶に豊富な成分「テアニン」とは(2024/01/06 新潮)

【1月6日 デイリー新潮 】東洋医学の世界では、他の部位に影響を与えず、ゆっくりと病気を癒やす薬が「上薬」とされてきた。抗がん剤のように、効果はすぐに出るものの他の部位に甚大な影響をもたらす薬は「下薬」というわけだ。日本人にとって「ソウルドリンク」ともいえるこの飲み物に、実は今、世界中の視線が集まっているのだという。

静岡県立大学・茶学総合研究センターでセンター長を務める中村順行(よりゆき)特任教授によれば、お茶の特異な健康効果には主に三つの成分が寄与しているという。

「お茶にはビタミンやミネラルも豊富に含まれていますが、特に注目されているのが『カテキン』『カフェイン』『テアニン』の三大成分です。さまざまな栄養素を含むお茶は“最先端の健康飲料”であると言っても過言ではありません」・・・

ナスのヘタに含まれる天然化合物、子宮頸がん細胞に抗腫瘍効果 名大(2024/01/05 Science portal)

【1月5日 Science Portal 】ナスのヘタに含まれる天然化合物に、子宮頸がん細胞への抗腫瘍効果があることが名古屋大学の研究チームの実験で明らかになった。同じウイルス性疾患の尖圭コンジローマで効果が見られたことから、ヒトの子宮頸がん細胞に応用し投与した結果、細胞死を誘導することが確認されたという。「作用が強すぎない抗がん剤などの創薬が期待できそうだ」としている。
子宮頸がんと尖圭コンジローマは、異なる型のヒトパピローマウイルス(HPV)から発症する性感染症。名古屋大学の研究チームは、ナスのヘタから抽出された天然化合物「9-oxo-ODAs」が子宮頸がん細胞に作用することを確認した。ナイン オキソ オーディーエースの濃度を上げるほど、細胞死が進むことも分かり、抗腫瘍効果が認められた。今後は実験データの蓄積を行い、治療薬に結びつけられるように研究を続けるという。成果は英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」2023年11月6日付け電子版に掲載され、名古屋大学が同16日に発表。

経済評論家・山崎元さん死去、65歳 食道がんで闘病 12回の転職など経て評論家として活動(2024/01/05 日刊)

【1月5日 日刊スポーツ 】経済評論家で、元楽天証券経済研究所所属の山崎元(はじめ)さんが亡くなったことが5日、分かった。所属の楽天証券のX(旧ツイッター)で伝えた。65歳。食道がん闘病を公表していた。

北海道出身の山崎さんは81年に東京大学経済学部を卒業。三菱商事や住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)、メリルリンチ証券(現・BofA証券)など12回の転職を経て、2005年に楽天証券経済研究所客員研究員。23年3月に退職し、経済評論家として活動。山崎さんの著作は数多く、「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」(文響社、2015年)などが知られている。

エーザイ認知症薬「年間298万円」に決まった裏側~異例の「45%加算」でもエーザイは不服なワケ(2024/01/05 東洋経済)

【1月5日 東洋経済ONLINE 】注目を集めてきた認知症の新薬の販売が今年、いよいよ本格的に始まる。

エーザイの認知症治療薬「レケンビ」が2023年12月20日、国内で発売された。すでに患者への投与も始まっている。

早期認知症患者の症状進行を緩やかにする新薬として注目されるレケンビだが、製薬業界では、12月13日に決まった“値段”が話題を呼んだ。というのも、国内では破格とも言えるプレミアムが付けられたためだ。

レケンビの薬価(公定価格)は体重50kgの患者の場合、年間298万円となる見込み。これについて、薬の費用対効果に詳しい横浜市立大学の五十嵐中(いがらし・あたる)教授は「レケンビが300万円近い価格となったのは意外だ。かなり特例的な評価がされている」と話す。

 

イヌのがん検査『リキッドバイオプシー』 わずかな血液だけで12がん種を検出する測定技術 2024年1月11日より正式スタート(2024/01/04 @Press)

【1月4日 @Press 】株式会社メディカル・アークは、世界初の伴侶動物(ペット)がん検査システム『リキッドバイオプシー~Cancer D-Ark Test~』の検査事業を2022年11月よりイヌ5がん種について開始し、その臨床精度を検証するための検証検査(バリデーション)も併せて実施してきました。
この度、イヌを対象に目標である12がん種の血液による補助的な判定法が確立されましたので、2024年1月11日(ワンワンワンDAY)より、本検査事業Cancer D-Ark Test(以下 Ark Test)を正式にスタートすることを発表しました。


Ark Testは、わずかな血液だけで、がん種の特定とそのステージまで、高い感度と特異度で検出することを可能にしました。
現在、イヌを対象に検出できるがん種は以下の通りです。
(1)肝細胞がん (2)悪性リンパ腫 (3)肥満細胞腫 (4)口腔内メラノーマ (5)尿路上皮がん (6)血管肉腫 (7)骨肉腫 (8)扁平上皮がん (9)鼻腔腺がん (10)乳がん (11)肛門嚢腺がん (12)肺腺がん。

MA社では、がんで「ある」か「ない」かの「がんリスク検査」も解析技術も確立し、2024年春には、検査をスタートする予定です。この「がんリスク検査」は、がんの種類を特定する通常検査と比べ、比較的安価な費用で検査が実施できることから、イヌのがん検診普及の起爆剤になると期待しています。本検査は、全国の指定動物病院(2023年12月現在、518病院)にて実施することができます。

 

線虫がん検査「N-NOSE」が導入社数2,000社を突破(2024/01/04 PR TIMES)

 

株式会社HIROTSUバイオサイエンス(本社:東京都千代田区、代表取締役:広津崇亮、以下「当社」)は、「N-NOSE」を導入いただいた法人数が累計2,000社を突破したことをお知らせいたします。

当社の「N-NOSE」は2022年4月より企業での導入が始まり、毎月約70社の企業に導入いただきました。

 

■「N-NOSE」について

嗅覚に非常に優れた線虫C.elegansが、人の尿中に含まれるがん特有の匂いを高精度に検知することを利用した、がんの一次スクリーニング検査。尿を提出するだけで、簡便・安価・高精度・全身網羅的に早期がんリスクを調べることが可能です。

サービスサイト:https://lp.n-nose.com/

 

■「N-NOSE plus すい臓」について

N-NOSEの次世代型 “がん種特定検査”。当検査には、線虫C.elegansに遺伝子操作を加えて作製した、すい臓がんの匂いにのみ特異的な反応を示す “特殊線虫“を用います。この“特殊線虫”は、すい臓がんとその他のがんを嗅ぎ分ける高い判別能を持ち、非侵襲(ひしんしゅう)な手法で早期すい臓がんの検知が可能です。

サービスサイト:https://lp.n-nose.com/suizou/

 

■「N-NOSE あにまる」について

N-NOSEの技術を応用し開発された愛犬用がん検査「N-NOSE わんちゃん」と愛猫用がん検査「N-NOSE ねこちゃん」。これまで自覚症状を訴えることができない犬猫が手軽に受けられるがん検査はありませんでしたが、当検査は人間同様、尿を提出するだけという簡単な方法で複数のがんのリスクを調べることができます。2023年にサービス提供を開始しました。

サービスサイト:https://lp.n-nose.com/animal/

 

皮膚がん治療市場規模は2031年までに145億米ドルに達する見込み - 最新予測(2024/01/03 Report Ocean Co.,Ltd.)

【1月3日 Report Ocean Co.,Ltd.】世界の皮膚がん治療市場は、2022年には約77億米ドルであり、2023年から2031年までの予測期間中に7.3%の複合年間成長率で成長している。
皮膚がんは、日光にさらされた皮膚に発生することが多い。市場に影響を与える要因は、非黒色腫および黒色腫タイプのがんの発生率の上昇、標的療法および免疫療法に基づく治療に対する需要の高まり、がん治療に対する意識の高まりである。
北米が売上高で世界の皮膚がん治療市場を支配し、予測期間中も支配的な立場を維持すると予測される。アジア太平洋地域は、医療インフラを拡大するための政府によるイニシアチブの増加、スキンケア治療の利用可能性に関する人々の意識の向上、研究活動の増加により、顕著な成長が見込まれている。


世界の皮膚がん治療市場における主要企業は、アムジェン社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社、グラクソ・スミスクライン社、レオ ファーム A/S、メルクKGAA、ノバルティスAG、ファイザー、リジェネロン社、サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ社、等である。

 

中国、がん関連死亡者数が15年で20%超増加(2023/12/30 CGTN)

【12月30日 CGTN Japanese】世界で最も評価の高い医学誌の一つ「ランセット・パブリック・ヘルス」で12月上旬に発表された研究によりますと、2020年の中国のがん関連死亡者数は240万人で、05年に比べて21.6%増加しました。

 

 この研究は、中国疾病予防抑制センター慢性病センターと首都医科大学公衆衛生学院の二つのチームによるものです。同研究は2005〜20年の中国のがん死亡率の推移を分析し、すべての種類のがんと各省級行政区のがんによる負担の変化状況を評価しました。

 

 同研究によりますと、「がんは2010年以来ずっと中国の主要な死因で、その発症率、死亡率、負担はいずれも増加している」とのことです。同研究は国家死亡率モニタリングシステムのがん死亡率データを使用しました。同システムは、中国大陸部にある31の省級行政区の605のモニタリングポイントをカバーし、全国の人口の24.3%を占めるもので、つまり3億を超える人がモニタリングに組み入れられています。

 

日本保守党代表・百田尚樹氏、がん宣告を受けたと告白「ガンになりました ガーン!」 部位は「内臓」と説明(2023/12/28 夕刊フジ)

ベストセラー作家で、日本保守党代表の百田尚樹氏が27日夜、自身のユーチューブチャンネルで、がんを宣告され、来年1月に手術を受けると公表した。百田氏は今年、日本保守党を立ち上げ、本格的な政治活動を展開している。識者やファン、支持者などから、激励や回復を祈るメッセージが相次いでいる。

百田氏は前出のユーチューブチャンネルで、「悲報! 百田君、ガン(癌)になりました ガーン!」という手書きのサムネイルを示しながら、「大したことではないが、本日がん宣告を受けました」と公表した。がんの部位は「内臓」と説明している。今年夏ごろの人間ドックで「(気になるものが)前より大きくなっている」と指摘を受けたという。

 

すい臓がん公表の森永卓郎さん『新春経済スペシャル』で親子トーク 息子の森永康平さん「本人が元気で実感がわかない」 (2023/12/28 中日新聞)

すい臓がんのステージ4を公表した経済アナリストの森永卓郎さん(66)と息子で経済アナリストの森永康平さん(38)が2024年1月1日、「文化放送 新春経済スペシャル 森永卓郎と森永康平の親子経済学」(午後3時30分)に出演する。

 

 このほど行われた収録で、卓郎さんはステージ4のすい臓がんの告知を受けた際の主治医とのやりとりや、今後の執筆活動への意欲を明らかにしたという。康平さんは「母親から(父親の病気について)聞いてから2カ月以上たっていて何となく(気持ちの)整理はできているが、本人が元気で実感がわかない」などと語るなど、親子共演ならではのトークが展開されたという。

 

金色のユーグレナ(R)が免疫細胞を活性状態にすることをヒト試験で確認

自然免疫・獲得免疫の両方に働きかけ、風邪様症状の発生を抑制(2023/10/03 神鋼環境ソリューション)

今回、人を対象とした金色のユーグレナ(R)(*1)(パラミロンEOD-1(R))(*2、3)摂取試験により、多面的な免疫調節機能の評価を行い、自然免疫(*4)(単球)(*5)と獲得免疫(*6)(T細胞)(*7)両方の免疫細胞を活性状態にすることで免疫機能を維持し、風邪様症状の発生を抑制することが初めて見出されました。 2019年から新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、現在は5類感染症に移行しましたが、依然として感染の波は押し寄せています。また、今年は季節外れのインフルエンザウイルスの流行も報告され、さらなる感染拡大が懸念されています。様々な感染症に対する懸念が広がる近年、健康的な生活を送る上で、日常的に免疫機能の維持に努めることは重要であり、本研究が人の免疫機能維持に貢献することを期待しています。

 

「尿1滴でがんリスクがわかる」は本当か。50万人超が受けた「線虫がん検査」衝撃の実態(2023/9/19 ダイヤモンドオンライン)

線虫という体長1ミリほどの小さな生物を利用し、尿のにおいから胃がん、大腸がんなど15種類ものがんのリスクを一度に判定する検査だ。「HIROTSUバイオサイエンス」社(本社・東京都千代田区)が2020年1月に世界で初めて実用化した。

 

少量の尿を提出するだけという簡便さや1万円台という手頃な価格、広告などで謳われる高い精度が話題となり、利用者は50万人を超えた。

 

海外進出や上場に向けた準備も進め、勢いに乗るHIROTSU社。しかし今、医療関係者の間では、密かにこうささやかれている。

 

“N-NOSEは怪しい。偽陽性や偽陰性の多い、問題のある検査だ。”

 

もしそれが本当なら、検査の高い精度を信じて利用した50万人が、水面下で被害に遭っていることになる。被害には、命に関わるがんの見逃しも含まれるだろう。

 

大塚製薬、欧州で経口の急性骨髄性白血病 抗がん剤承認 患者負担を軽減(2023/09/19 日経)

大塚製薬は19日、成人の急性骨髄性白血病の治療に使う、経口タイプの抗がん剤「イナコビ」について、欧州委員会(EC)から製造販売承認を取得したと発表した。同じ薬効の既存の薬は注射で投与する必要があり、患者の治療の選択肢が増える。各国で順次販売する。

 

大塚製薬の注射で投与する抗がん剤「ダコジェン」を経口剤にした。がん細胞が増殖しないようにする機能を回復させる効果がある。注射の場合、通院治療が必要だったが、経口剤は在宅治療が可能。患者負担を減らすことができると期待される。

 

子会社の米アステックスファーマシューティカルズが開発した。米国では、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病の患者への適応で2020年に承認されている。

 

旭化成、CAR-T開発へ国立がん研究センターと共同研究契約ほか(2023/09/20)

旭化成、CAR-T開発へ国立がん研究センターと共同研究

国立がん研究センターと旭化成は9月20日、CAR-T細胞療法の開発に関する共同研究契約を結んだと発表した。同センターは主に3つのCAR-T細胞療法のパイプラインを持っており、一部は治験の準備を進めている。共同研究では、同センターのベクター、細胞製造、免疫解析の技術を旭化成に移管し、シーズの共同研究開発と製造販売承認に必要な製造、供給、品質管理法を確立。市販後のCDMOでの製造につなげる。

 

ペプチドリーム、ジェネンテックとRI-PDCのライセンス契約

ペプチドリームは9月20日、米ジェネンテックとペプチド放射性核種複合体(RI-PDC)の共同研究開発・ライセンス契約を締結したと発表した。ペプチドリームは、ジェネンテックが選定する創薬ターゲットに対するペプチド候補化合物の同定・最適化を実施。これをもとに創製したRI-PDCについて前臨床試験の化合物評価の前半までを担当する。その後はジェネンテックが開発および商業化するが、日本の権利はペプチドリームが持つ。ペプチドリームは契約一時金4000万ドル(約59億円)を受け取るほか、開発・承認・販売のマイルストンとロイヤリティを受領する権利を得る。

 

大塚、白血病治療薬「INAQOVI」が欧州で承認

大塚製薬は9月19日、DNAメチル化阻害配合剤「INAQOVI」が欧州で承認されたと発表した。適応は、標準的な導入化学療法が適さない成人の急性骨髄性白血病。同薬は、DNAメチル化阻害剤「ダコジェン」(一般名・デジタビン)の有効成分に、分解を抑制する新規代謝酵素阻害剤cedazuridineを加えた世界初の経口DNAメチル化阻害配合剤。米国とカナダでは2020年に承認を取得し、大鵬薬品工業の米国子会社が販売している。

 

9月9日(土)WCHJ主催【「ワールドカウンシルフォーヘルスジャパン キックオフセミナー」~パンデミックが起こした世界の変化とは 日本人がアフターコロナを生き抜くには 今 何をすべきか】(PR TIMES 2023/09/21)

2023年7月に設立したWCHの日本支部 「WCHJ ワールドカウンシルフォーヘルスジャパン」が、9月9日(土)に初のキックオフセミナー『「ワールドカウンシルフォーヘルスジャパン キックオフセミナー」~パンデミックが起こした世界の変化とは 日本人がアフターコロナを生き抜くには 今 何をすべきか~』を東京ウィメンズプラザで開催することをお知らせします。

 

セミナー概要

現在の日本の臨床現場で起きているコロナワクチン接種後の問題点や、全国の症例などをもとに、医師や医学界の会長を務める講師陣らが、今後の対処法についてお話します。

 

医療現場からのコロナやワクチン後遺症のリアルな報告、日本全体のデータ、世界の動向が一度に分かります。

今の日本における医療に疑問をお持ちの方や、ワクチン後遺症に関心のある方などにお勧めです。

 

<講公演内容>

ー「新型コロナワクチンによる薬害について」理事 藤沢明徳ー

新型コロナワクチンによる、薬害の現状を公式データをもとに解説します。

 

ー「診療現場からの報告」副代表理事 佐々木みのりー

新型コロナワクチンが始まってから臨床現場で何が起きたのか?

現場から症例を供覧して解説します。

 

ー「世界の動向とベターウェイが生み出す未来」代表理事 柳澤厚生ー

新型コロナワクチンと副反応は、世界各国で大きな問題になっています。

現在の世界の情勢を、ワールドカウンシルフォーヘルスの活動と併せて解説します。

 

WCHジャパン ホームページ

https://wch-japan.org/

 

人工甘味料に発がん性 人工甘味料 WHO、肝臓がん懸念(2023/7/14 産経)

 

世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は14日、無加糖をうたった清涼飲料水や食品などに広く使われている人工甘味料「アスパルテーム」について、発がん性の可能性があるとの見解を示した。特に肝臓がんを引き起こす可能性について懸念を示した。

 

アスパルテームは、IARCの分類で4段階ある発がん性の可能性のうち、下から2番目の「2B」に指定された。ガソリンを使用したエンジンの排ガスや、鉛などと同じレベル。発がん性の可能性が最も高い「1」にはタバコやアルコール、紫外線などが含まれている。

 

WHOと国連食糧農業機関(FAO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、アスパルテームの1日当たりの許容摂取量として、体重1キロあたり40ミリグラムとしている。体重70キロの人を例にすると、アスパルテーム入りの炭酸飲料では9~14缶に相当するという。(共同)

 

普通のネズミより10倍長生きするハダカデバネズミ その長寿の理由は「幸せホルモン」だった!?熊本大学が新発見(2023/07/14 RKK)

 

がんになりにくく長生きというハダカデバネズミ。今、人間の医療に活用できないか研究が進められていますが今回、熊本大学が新たな発見をしました。

 

 

特徴的な前歯に、毛のない体。

 

その最大の特徴は寿命の長さ。

 

一般的なネズミの寿命は3年と言われますが、ハダカデバネズミの寿命はなんと30年。10倍も長生きするのです。

 

熊本大学大学院生命科学研究部 河村佳見 助教「こちらがデバネズミの飼育室です」

 

この長寿の秘密は何なのか?熊本大学は10年以上研究をしています。

 

これまで、がんになりにくいことは明らかになっていて今回、その手がかりが新たに見つかったのです。

 

河村 助教「ハダカデバネズミには細胞老化が起こることは分かっていましたが、起こった細胞老化がその後どうなるかは分かっていなくて、それが今回の研究で初めて明らかになりました」

 

一般的に、細胞は紫外線を浴びるなどの影響で「老化細胞」に変化します。それらが長期的に体内に蓄積されると…がんの原因になります。

 

一方、ハダカデバネズミは…

 

河村 助教「(細胞は)老化はするんですけど、そのままの状態を維持できなくて死んじゃうという感じです」

 

老化細胞が蓄積されず死滅することでハダカデバネズミはがんになりにくいのです。

 

ではなぜ老化細胞が死んでいくのか、ハダカデバネズミの細胞内で予想外の存在が見つかりました。

 

河村 助教「なんでセロトニンがこんなに溜まっているのか全く予想していなかった」

 

「セロトニン」…「幸せホルモン」と言われるホルモンが細胞内に見つかったのです。人間など、多くの生物の細胞には含まれない神経系の伝達ホルモンです。

 

なぜハダカデバネズミの細胞に含まれるのかはわかっていませんが、細胞に老化ストレスがかかってもセロトニンが化学反応を起こし、老化細胞を死滅させる成分が生成されることがわかったのです。

 

謎に包まれていたハダカデバネズミの老化防止のメカニズム。今後、研究が進むことで人間の老化防止にも役立てられるかもしれません。

 

河村 助教「(今後)どういう老化細胞がどのタイミングでいなくなっているかを調べることで安全な老化細胞除去薬の開発に繋がればいいなと思っています」

 

高地の長寿現象を解明:酸素制限によるマウスの寿命延長が初めて実証される(2023/07/12 BioQuickNews)

 

ハーバード大学医学部の科学者らは、驚くべき結果をもたらす研究を発表しました。彼らは異常に寿命の短いマウスの系統を、エベレストのベースキャンプとほぼ同じ酸素濃度の低い環境に置いたところ、予想に反して50%も長生きすることが判明しました。

 

この研究は、動物モデルにおいて寿命を延ばすことが示された新たなアプローチを提供し、また、酸素制限が老化モデルマウスの寿命を延ばすことを初めて実証しました。この研究の論文タイトルは「Hypoxia Extends Lifespan and Neurological Function in a Mouse Model of Aging(低酸素は老化モデルマウスの寿命と神経機能を延長する)」です。

 

ムータ博士とロジャース博士らは、早老マウスを使用しました。この系統のマウスは生後3〜4ヵ月で加齢に関連した病気に罹患します。通常の「野生型」マウスの寿命は約2年ほどです。

 

研究者たちは、生後約4週間で離乳したマウスをわずか11%の酸素濃度の低酸素チャンバーに移しました。

 

低酸素環境が生じる原因は、高地において酸素濃度が低くなることではなく、窒素ガスによる希釈であることが判明しました。

 

通常、酸素濃度21%の環境下で生活していたマウスの寿命の中央値は約16週間でした。しかし、低酸素チャンバーに収容されたマウスは平均して約24週間生存しました。

 

さらに、これらのマウスの最大寿命も、低酸素条件下では通常の酸素濃度で生活していたマウスの26週齢に比べて約30%延び、31週齢に達しました。

 

ロジャース博士によれば、低酸素環境で生活する動物は、寿命だけでなく神経機能も長期間にわたって維持されるように変化したとのことです。

 

効果の背後にあるメカニズムを理解するために、研究者たちは動物が摂取する食物量が減少しているかどうかを調査しました。カロリー制限は、多くの動物モデルにおいて強力な寿命延長効果があることが証明されているため、食物摂取量の調査が行われました。

 

エーザイのアルツハイマー新薬「レカネマブ」、日本では秋までに審査結果…米で正式承認(2023/07/07 読売)

 

 【ワシントン=冨山優介】米食品医薬品局(FDA)は6日、日本の製薬大手エーザイと米製薬企業バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認した。病気の原因とみられる物質を除去することで進行を抑制する効果が認められた初の薬となる。米国で高齢者向け公的医療保険の適用が決まり、普及が進みそうだ。日本でも秋までに承認審査の結果が出る見通しだ。

 

 レカネマブは、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド βベータ 」を取り除いて、認知症の進行を緩やかにする。投与対象は早期の患者に限られる。脳内の信号の伝達を活発にして症状の一時的な改善を図る従来の認知症薬とは、作用の仕組みが根本的に異なる。

 

 FDAは1月に中間段階の臨床試験結果に基づき迅速承認した。エーザイが「症状の悪化を27%抑制した」とする最終段階の臨床試験結果をFDAに追加提出し、審査が続いていた。

 

 正式承認にあたり、FDAは「アルツハイマー病の根本を標的にした薬として初めて有用性を示した」と評価した。一方で、副作用として頭痛や脳の一時的な腫れがあり、特に抗凝固薬を服用中の人は脳出血のリスクが高まるため注意が必要だとした。

 

 正式承認に伴い、レカネマブは、米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」の適用になった。エーザイは、来年3月末までに1万人以上が使用すると見込んでいる。

 

縮毛矯正が癌の原因になることが新たな研究で明らかに

「化学的な縮毛矯正を頻繁に行う女性は、それらを行わない人と比較して、子宮癌のリスクが2倍以上であることが判明した」(2023/02/04 BAZAR)

 

なめらかなストレートヘアは、ある種の理想の一つであり、サロンでの施術やホームケア製品に多くのお金を費やしてきた人も少なくないかもしれない。

 

ところが、ある新しい研究(人種や民族の異なる33,000人以上のアメリカ人女性を10年以上にわたって追跡調査した大規模なもの)によると、化学的な縮毛矯正を頻繁に行う女性は、それらを行わない人と比較して、子宮癌のリスクが2倍以上であることが判明したという。

 

「この結果は、縮毛矯正に使われる化学成分が、女性ホルモン関連の癌のリスク増加に影響するという先行研究と一致する」と、研究の著者は国立がん研究所のジャーナルに書いた。彼らは、様々な染毛剤、ブリーチ剤やパーマ剤を含むヘアケア製品が、子宮癌リスクを上昇させることを発見した。

 


がん細胞だけ攻撃する免疫細胞をオーダーメイドで作ることに成功 ゲノム編集技術の歴史と未来(2022/11/15 Newsweek)

 

米国のがん治療ベンチャー企業やカリフォルニア大ロサンゼルス校などから構成される研究チームは10日、「がん細胞だけを攻撃する免疫細胞」を各個人に合わせて作成することに成功したと、マサチューセッツ州ボストンで開催された癌免疫療法学会で発表しました。この成果は総合科学誌「Nature」にも掲載されました。

 

用いられたのは「CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)」と呼ばれるゲノム編集技術で、身体を異物から守る免疫応答システムの司令塔の役割を果たす細胞集団「T細胞」をオーダーメイドでデザインし、増やしました。

 

がんに罹患すると、自覚症状の前でも異常な増殖をする細胞が体内に潜伏しています。CRISPR-Cas9で免疫細胞を強化することで発見と治療が可能と考えられており、すでにアメリカや中国では盛んに研究されています。

 

今回の米研究チームによる研究は、「CRISPR-Cas9によるオーダーメイド治療」と「T細胞を遺伝子操作して腫瘍を標的化する」という分野の2つの最新技術を組み合わせました。

 

遺伝子操作されたT細胞を使う治療法は「CAR-T細胞療法」と呼ばれ、全身を循環する血液がんやリンパがんの治療では有効とされていますが、固形腫瘍では難しいと考えられてきました。

CAR-T細胞は腫瘍細胞の表面に発現しているタンパク質にのみ有効なこと、固形腫瘍では表面に発現するタンパク質に個人差があることが理由です。

さらに白血球の一種であるT細胞は血流で腫瘍まで運ばれますが、腫瘍細胞が免疫を抑制する化学シグナルを出すこともあり、その場合は腫瘍に近づくとT細胞の機能が低下してしまいます。

 

研究チームは、乳がんや結腸がんの患者16人に対して、固形腫瘍の変異タンパク質を特定し、どの変異にT細胞が応答して細胞の破壊反応を引き起こす可能性が高いか予測しました。その後、腫瘍の変異を認識できるT細胞受容体をオーダーメイドで設計して、患者の体内にCRISPR-Cas9でゲノム編集したT細胞を注入しました。

 

その結果、遺伝子編集されているT細胞は編集されていないT細胞よりも腫瘍の近くに高濃度で存在していること、1カ月後に16人中5人の腫瘍が安定している(成長していない)ことなどを確認しました。チームは今後も、「免疫抑制シグナルに応答するT細胞側の受容体を除去する」といった改良したCAR-T細胞療法を考えています。

 

特例承認された治療薬「エバシェルド」 コロナ対策の決定打になるか? 免疫を得にくい人には期待大(2022/09/01 カンテレ)

 新型コロナの新しい治療薬「エバシェルド」が特例承認されました。新型コロナウィルス対策の決定打となるのでしょうか。

 

 8月30日、特例承認された新型コロナの新しい治療薬「エバシェルド」。イギリスの製薬大手アストラゼネカの注射薬で、重症化リスクのある患者に投与することとされています。さらにこの薬、初めて“ある効果”が確認されました。

 

【加藤勝信 厚労相】

 

「ワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある方がいらっしゃいます。そういった方などにおいて、“ウイルス暴露前の発症抑制”に使用できる初めての薬剤となります」

 

 「エバシェルド」に期待されている、“発症抑制効果”。海外の治験では、コロナウイルスに感染していない人に対して、1回の注射でおよそ8割、発症を抑えられたことが確認されました。

 

免疫不全や抗がん剤治療を受ける患者など、ワクチンの効果が得られにくい人に対して効果が期待されていて、その効果は半年ほど持続するとされています。

 

「オプジーボ」投与で老化細胞が減少、身体機能改善…東大などチーム発表(2022/11/3 読売)

 

がん免疫治療薬「オプジーボ」をマウスに投与すると、体内の老化細胞が減り、身体機能が改善したとする研究成果を、東京大と金沢大のチームが発表した。様々な臓器・組織の老化防止や生活習慣病の治療につながる可能性があるといい、論文が2日付の科学誌ネイチャーに掲載される。

 

肝臓に蓄積する脂肪を観察した顕微鏡画像。上段は正常なマウスで、下段は脂肪肝のマウス。下段左側は白い脂肪が目立つが、オプジーボを投与したマウス(下段右)では脂肪が減っている(中西真・東京大教授提供)

 細胞の多くは時間がたつと分裂して新しい細胞に置き換わる。分裂しなくなった老化細胞が増えると周囲に炎症が起き、がんや高血圧などの疾患の原因になる。通常は免疫細胞の働きで除去されるが、加齢で増えるメカニズムは謎だった。

 

 

 チームが加齢マウスの老化細胞を調べると、一部の細胞の表面に「PD―L1」という分子が多くくっついていた。この分子が免疫細胞の表面にある分子「PD―1」と結合し、免疫を弱めることがわかった。

 

 チームは、PD―L1が老化細胞を増やす原因とみて、免疫細胞との結合を邪魔して免疫を活性化させるオプジーボを加齢マウスに投与した。その結果、様々な臓器で老化細胞が顕著に減少して握力が回復したほか、脂肪肝のマウスでは肝機能が改善したという。

 

がん放置療法の近藤誠医師死去 かつて語った「一人の意見は『抗がん剤をやめさせる』根拠にはなる」(2022/08/18 AERA)

 

『患者よ、がんと闘うな』などの著者として知られる近藤誠医師(73歳)が亡くなった。近藤医師の著書『医者に殺されない47の心得』(2012年刊)がベストセラーとなっていた2013年に、『週刊朝日』ではその科学的根拠をめぐる検証記事を企画し、複数の専門医と近藤医師(当時・慶応大学放射線科講師)に取材を敢行していた。

がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん--。そんな過激な主張を繰り返していた近藤医師は、学術的な論文などではなく、もっぱら一般向けの書籍や雑誌でしか主張を発表してこなかった。その理由はどこにあったのか? 当時の記事(週刊朝日2013年6月21日号、28日号)から抜粋して振り返る。

 

*   * *

 

 近藤医師は1980年代から、「がんを見つけたら手術や抗がん剤治療をしたほうがいい」という通念に誤りがあると指摘してきた。

 

『医者に殺されない47の心得』の中で近藤医師は「がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん」「がん検診は、やればやるほど死者を増やす」と説いていて、その論の根幹として、「抗がん剤の臨床試験には人為的操作が入っている」といった問題点を挙げている。

 

「これまでの僕の本では、肝心なところは根拠となるデータを示していたけど、一般の人には読みにくいでしょう。だから今回(の『医者に殺されない47の心得』)は、結論だけ書いてある。いちいち論文根拠は示さない。

そうするとわかりやすくなる。それは執筆にあたって工夫したところで、それゆえに読者の支持を得ているわけ」(近藤医師)

 

 その内容は、現在の医療の常識とはかけ離れた主張で、しかも断定的な論調で書かれている。近藤医師はこう続ける。

 

「根拠というのは、聞かれたときに示せばいい、という考え方もある。僕のほかの本には専門的な根拠が書いてあるわけだから、読者が、僕の主張の根拠を知りたければ、それらの本を読めばいい」

 


【宣言】がん、コロナをぶっつぶーす!(薬事医療コンサルタント 持田 騎一郎)


【臨床試験】新型コロナ感染後の重症化ゼロ、死亡ゼロを確認した高吸収型イタリアケルセチン(ケルセフィット)

ダウンロード
【新型コロナ2021】高吸収型ケルセチン(ケルセフィット)の臨床試験結果
「高吸収型イタリアケルセチン(インデナ社ケルセフィット®)」は、臨床試験において新型コロナ感染後の患者の重症化リスク低減、死亡率を低減する効果が確認されました。
実施期間、国:2020年9月~2021年3月、パキスタン
対象:新型コロナPCR検査陽性で入院の必要のない無症状または軽症者152人
試験方法:被験者を2群に分け、標準治療*群と標準治療と「高吸収型イタリアケルセチン(インデナ社ケルセフィット®)」の併用摂取による治療群を比較
期間:30日間
結果は、「高吸収型イタリアケルセチン(インデナ社ケルセフィット®)」併用摂取群は、発症後の入院率を1/3に、入院後の入院日数を1/4に、酸素吸入器の使用率1/15に、重症化によるICU使用率を0%に、最終的に、新型コロナ陽性者の死亡率0%と劇的な効果を示しました。
COVID19試験 抜粋.pdf
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論文:“Possible Therapeutic Effects of Adjuvant Quercetin Supplementation Against Early-Stage COVID-19 Infection: A Prospective, Randomized, Controlled, and Open-Label Study” F. D. Pierro et al
2021-Jun-8 152人 インデナのケルセフィットのCovid-19 パキ
PDFファイル 269.9 KB

【動画セミナー】がん免疫治療とは?本庶佑先生が発明したオプジーボとは?


【動画セミナー】オプジーボ+水素ガス がん免疫治療~医師・赤木純児~

【標準治療】最新の肺がん治療(2019年、日本癌学会市民公開講座)

第34回 日本癌学会市民公開講座(2019/10/28)

「肺がんの最新治療と免疫療法~大きな効果を得るために~」

萩原 弘一(自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門 教授)


【がんの大学】がん光免疫療法とは?楽天が医薬品として世界初承認!


【動画】新型コロナに効く?レムデシビル、アビガン、大麻CBD(2020/05/22)


【がんの大学】白川太郎(医師、医学博士):本庶佑が認めた医師発見 がん細胞は3種類あった!(2019/6/23)


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